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「全国手話検定」の受験受付が開始、検定受験でモチベーションを保つ

 手話を学習し始めて2年半。毎年、学習の励みとするため検定を受験してきたが、今年も検定の申し込みが開始された。言語学習の場合には実力と取得資格は必ずしも一致しないが、自分の実力を測ることで学習を継続するモチベーションを保つには効果的だと思う。

全国手話検定の受験受付が開始

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 毎年10月に行われる「全国手話検定試験」の受付が今年も開始された。ホームページがリニューアルされて、以前に比べて見やすくなったと思う。

 全国手話検定は5級から1級まで6段階(準1級を含む)あり、学習期間やおおよその技能によって受験する目安が表示されている。自分の学習期間や技能と照らし合わせて選んでみたい。

◆5級
手話学習を始めて6ヶ月くらいの方が対象です。
*ろう者との会話に興味を持ち、挨拶や自己紹介(名前・家族・趣味・誕生日・年齢・仕事・住所)を話題に手話で会話ができる程度の力を問うレベルです。
*そのために覚えてほしい単語は約200~300程度です。

◆4級
*手話学習を始めて1年くらいの方が対象です。
ろう者との会話をしようとする態度を持ち、家族との身近な生活や日常生活の体験を話題に手話で会話ができる程度の力を問うレベルです。
*1日・1週間の生活やできごと、1年の行事やできごと、思い出や予定について、曜日、年・月・日、時間に関する手話を理解し、そのために覚えてほしい単語は約500~600程度です。

◆3級
*手話学習を始めて1年半くらいの方が対象です。
*ろう者と積極的に会話をしようとする態度を持ち、日常の生活体験や身近な社会生活の体験(友達・近所の人・ 職場の同僚などと、子どものこと・健康のこと・職場のことなど)を話題に会話ができる程度の力を問うレベルです。
*そのために覚えてほしい単語は約800~1000程度です。

◆2級
*手話学習期間2年くらいの方が対象です。
*ろう者と積極的に会話をしようとする態度を持ち、社会生活全般(旅行・学校・公的な挨拶・仕事・福祉事務所の場面等) を話題に平易な会話ができる程度の力を問うレベルです。
*そのために覚えてほしい単語は約1500程度です。
*筆記試験は「四肢択一方式」で行われます。

◆準1級
*手話学習期間2年半くらいの方が対象です。
*ろう者と積極的に会話をしようとする態度を持ち、社会活動 の場面(学校・職場・地域・自治会や保護者会、サークル、 趣味の活動等)を話題に会話ができ、一部専門的な場面での会話ができる程度の力を問うレベルです。
*そのために覚えてほしい単語は約2200程度です。
*筆記試験は「穴埋め方式」で出題されます。

◆1級
*手話学習期間3年くらいの方が対象です。
*ろう者と積極的に会話をしようとする態度を持ち、あらゆる場面での会話を話題にし、よどみなく会話ができる力を 問うレベルです。
*そのために覚えてほしい単語は約3000単語です。
*筆記試験は「小論文方式」で出題されます。

(http://kentei.com-sagano.com/wp/wp-content/uploads/2015/03/siken-menu.pdfから参照)

 全国手話検定は全日本ろうあ連盟」が主催している。当事者団体として60年以上にわたってろうあ者の生活と権利を守る活動を行っている団体だからこそ、<検定には単語の読み取りだけではなく面接もあり、手話によるコミュニケーション力にも重点を置いている。

 手話の資格認定試験としては、厚生労働省認定の「手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)」がある。昨年は合格率が約2%となかなか難しい資格だが、通訳者として活躍するためには必要な資格だと思う。

 一方、全国手話検定は通訳者としての技能を認定するのではなく、手話を使ったコミュニケーション能力の力量を測る検定試験だ。通訳を行う技能とは若干ことなる内容だが、通訳者を目指す方も自分の現段階での技能を確認するためにも検定を受験するのは意味があると思う。

試験内容は筆記と面接

 一昨年から手話を学習し始めたが、一昨年は4級を、昨年は3級と2級とを併願受験して資格を取得した。 

  検定内容は、3級までは「単語・短文読み取り」「面接」という2本立て。検定の前半は単語と短文の読み取りで、会場のモニターに映される手話を読み取り、手元のマークシートに書かれている答えから正解を選ぶというもの。

 2級は「筆記試験」「単語・短文読み取り」「面接」の3本立て。筆記試験はろう者の歴史や障がい種別など、幅広い内容が問題として出されてくる。

 単語・短文読み取りは一問につきモニターで3回同じ手話が繰り返されるので、手元だけではなく口の動きや全体を見る必要がある。短文読み取りは手話で表現される文章を読んで、それに関連したマークシート上の設問に答える形式だ。合格ラインはそれぞれ70%以上の正解率となっている。

 後半の面接は一人ずつ別室に呼ばれ、聴覚障害の方と手話通訳の方2名と向かい合って行われる。着席すると目の前に「テーマ」がおいてあり、3級では最初にテーマに沿った一分間のスピーチを、2級では2分間のスピーチを行う。その後、スピーチの内容についての質疑応答が行われて終了する。

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 コミュニケーション能力と手話技能とはイコールではない

 自分自身でも勘違いしがちだが、手話の技能と手話を使ったコミュニケーション能力とは必ずしもイコールではない。もちろん、手話技能が低いよりも高いほどコミュニケーション能力は高まるが、だからといって手話能力の高い人が必ずしもコミュニケーション能力が高いとは言い切れない。

 ここは微妙なところだが、コミュニケーション能力とは一般的に「他者と言語による意思疎通を上手に図ることができる能力」を意味するので、技能の高さは絶対的に必要なものではない。

 例えば、手話単語をたくさん知っていればいるほど手話の技能は高いということになるが、それがそのままコミュニケーションに反映できるとは限らない。相手の気持ちを察しながら、相手の意思表示を丁寧に受けとめて、そのうえで「意思疎通を上手に図る」ことが求められると思う。

 そういう意味では、自分の意見や主張を一方的に伝えるだけではコミュニケーション能力が高いとは言えないので、技術を磨いて高めるだけではなく、傾聴する力や相手に伝わりやすい言葉に置き換える力をも育む必要があるのではないかと思う。

 それは手話に限らず、日常の会話や対応でも同様だろう。言い方を変えれば、手話によるコミュニケーション能力を高めるためには、普段の日本語によるコミュニケーション能力を高めておく必要があるということだ。

 音声言語でコミュニケーションが上手に取れなければ、視覚言語である手話でも上手にコミュニケーションをとることはできない。そう考えるべきだろうと思う。