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銭湯で就労準備?銭湯「御谷湯」と就労移行支援事業所「カラコネオフィス」の取り組み

 障がいにより企業への就労が困難な方が、一般就労を目指すために訓練を行うのが就労移行支援という事業。一般的にはあまり知られていない事業だが、ここで訓練を行い企業終了をする人はかなりの数になる。

 就労移行支援事業所は利用契約を結ぶB型事業所と雇用契約を結ぶA型事業所とがあるが、今月事業を開始した墨田区の事業所はお風呂屋さんに事務所を構えるという珍しい方法を取っている。

お風呂屋さんで就労移行事業 

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 東京都墨田区で6月1日から事業を開始したのが、就労移行支援B型事業所の「カラコネオフィス」。JR錦糸町駅からバスで5分ほどの場所にある事業所で、お風呂屋さんの中に事務所を構えているという珍しいB型事業所だ。 

 一般的に就労移行支援B型事業所は作業を請け負うことが多く、室内で行う梱包作業や仕分け作業など内職的な仕事も多く行っている。また、設備の清掃など受託業務として出かけて行うという作業なども行っている事業所が多い。

 しかし、「カラコネオフィス」ではそういった作業を行うのではなく、建て直した銭湯の中に事業所を構えて、銭湯の仕事で就労するための研修を行うという方式をとっている。

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 仕事の内容は銭湯での作業が中心だが、簡単な作業から始めたい人のためには内職作業も用意されている。また、下町の雰囲気が漂う墨田区での仕事として、地域に役立つ仕事も取り入れることを検討中だとのことだった。

 地域の細かいニーズを拾いながら行われる就労移行支援事業。今までの福祉とは一線を画す取り組みとして注目されるのではないだろうか。

■就労移行支援B型事業所「カラコネオフィス」

住所 東京都墨田区石原3-30-8(「御谷湯」内)
電話 

 銭湯も個性的で地域密着型銭湯だ

 カラコネオフィスが入る銭湯「御谷湯(みこくゆ)」は、昔から地域に根差した活動を行ってきた銭湯だ。銭湯主人の伊藤さんはNPO法人「雨水市民の会」の事務局長も務められており、墨田区内の雨水利活用を推進されている。

 御谷湯のトイレや池の水は雨水を利用するとともに、コインランドリーにはリサイクルコーナーを設けるなど地域のための「エコ銭湯」としても親しまれてきたようだ。

 リニューアルされた銭湯は5階建て。銭湯主人のお住まいは3階にし、銭湯は4階・5階に設けられている。通常は家主さんが最上階に住まいを構えそうなものだが、4階・5階からは東京スカイツリーを眺めることができるため、お客様に喜んでもらおうという配慮から上層階に銭湯を持ってきたらしい。そういったところにも、地域密着型の銭湯としての心意気を感じる。

 また、1Fには高齢者・要介護者のための「ユニバーサル銭湯」を開設し、家族風呂としてご夫婦や親子で入浴することもできるようだ。「エコ銭湯」が新たに建て替えられて「コミュニティ銭湯」へと進化していっている感じがする。

 そのほかにもリニューアルオープン記念として音楽ライブを行うなど、利用する人のことを第一に考えてつくられた銭湯だ。私も機会を作ってぜひ訪れてみたいと思っている。

地域密着を考えると福祉と融合する

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 以前から言われている「地域おこし」のほかに、最近では「地方創生」という言葉も政府から出てきている。言葉の使い方はともかくとして、過疎化している地方を盛り上げるというのは大切なことだろう。

 一方で、都会の中での「人と人とのつながり」を考えていくというのも、地方創生と同じくらい大切なことだろうと思う。大都市になればなるほど人と人とのつながりが希薄になることが多く、隣の人と話をしたことがないというのは今や日常茶飯事だ。

 今回ご紹介した御谷湯さんの取り組みを見てみると、地域に密着した活動を行うことで銭湯を中心としたコミュニティが創られていることが分かる。同時に、地域のことを考えた結果として、要介護の方々のためのユニバーサル銭湯を作ろうということに行きついたのだろうと感じた。

 超高齢化社会を迎えた日本では、地域密着を考えたときには「福祉」と融合せざるを得ないと思うし、そうすることで地域が活性化していくのだと思う。

 政府が「高齢者用介護施設が足りなくなるので、高齢者を地方に移住させることを検討する」という安易なことを言い出しているが、それ以前にこういった地域密着型のサービス展開を支援するようなことも考えてほしい。

 昔から「子どもは地域の宝物」だと言われてきたが、これからは「高齢者は地域の知恵袋」として大切に接する必要があると思うし、そういう社会になることで住みやすく生きやすい世の中になるではないかと思う。