東日本大震災を境にして、自転車ブームが根強く広がっている。特に首都圏では帰宅困難対策として広がった自転車通勤だが、その後健康志向も含めた広がりを見せている。一時ほどの盛り上がりは静まってきたような感じがするが、それでも以前に比べてロードタイプの自転車に乗っている人を見かけることが多くなった。
一方で、自転車ブームの広がりに伴って自転車による事故も増えてきているが、6月1日の道路交通法改正でも自転車に対する取り締まりが強化されるようだ。
道路交通法改正のポイント
道路交通法の改正というと自動車が中心となった法律の改正というイメージがあるが、自転車は道路交通法上では軽車両と扱いになるので改正内容によっては自転車への罰則も大きく変わることになる。
今までも、自転車は車道の左側を走行するなどの法改正があったが、それによって罰金を支払ったという話はほとんど聞いたことがなかったと思う。理由としては自転車の違反には自動車等のように青切符(反則金)制度がなかったためで、かなり悪質な違反の場合にのみ赤切符(罰金)が切られる運用となっていたからのようだ。
赤切符を切られると裁判所に呼び出されて略式裁判が行われるため、警察としてもよほどのことがない限りは「注意」を施すだけにしていたというのが実情らしい。
ところが今回の改正では自転車に対しても青切符と同様の制度が導入されることになったため、以前よりも自転車に対する取り締まりが厳しくなるのではないかと言われている。
青切符と同様といっても自動車等とは少し対応が違うようで、自転車の場合には次のような対応が行われる。
・1回目の違反では即反則金納付にはらない。
・3年間で2回の摘発をされた場合には「安全講習」を受講しなければならない。
・「安全講習」の受講手数料は5,700円で、これが罰金と同様の位置づけになる。
・安全講習を受講しない場合には裁判所に呼び出されて略式起訴となる(5万円以下の罰金)
今回の改正では具体的な違反内容が明記されており、以下の14項目の行為が青切符の対象となる。
1.信号無視
2.通行禁止違反
3.歩行者専用道での徐行違反等
4.通行区分違反
5.路側帯の歩行者妨害
6.遮断機が下りた踏み切りへの進入
7.交差点での優先道路通行車妨害等
8.交差点での右折車妨害等
9.環状交差点での安全進行義務違反等
10.一時停止違反
11.歩道での歩行者妨害
12.ブレーキのない自転車運転
13.酒酔い運転
14.安全運転義務違反
今までは笛を吹かれて注意されるだけだった行為も、これからは切符を切られる対象になる。上記の14項目を見ると、歩道を走ったり一時停止をしないなど、普段でも良く見かける項目がしっかりと入っている。
自転車を使う時には十分注意したい内容だが、逆にいえば自転車の暴走で怖い思いをしたこともあるので、街を歩いていても少しは安心して歩けるようになるかもしれない。
大切なのは交通マナーをきちんと知ること
子どもの頃に学校で自転車の安全講習を受けた方は多いのではないだろうか。学校に警察官がやってきて、交通指導をしながら交通ルールを教えてもらったのが懐かしい。
現在も各市区町村で自転車安全利用講習会が定期的に開催されているので、道路交通法が改正になることを機会に参加してみるのも良いかもしれない。
子どもの頃から親しんでいる乗り物だけに、自己流の乗り方になっているということもあるだろうし、車やバイクと違って自転車に乗っていると交通ルールを気にしなくなっているだろう。反則切符を切られないためというよりは、自分が交通事故の加害者や被害者にならないためにも 必要なことだと思う。
自転車向け保健にも入っておきたい
自転車に乗っていると、車やバイクにぶつけられないよう「交通事故に気をつけよう」と思う。交差点や横断歩道などで、トラックの左折に巻き込まれるという事故も時々発生している。
しかし、それだけではなく自転車に乗っていて誰かをはねるということもあるかもしれない。実際に、平成20年には小学生の子どもが起こした自転車事故で相手が重傷を負い、母親に9500万円の賠償命令が行われた例もある。
自転車事故を起こさないようにすることが一番大切なことだが、万が一に備えて自転車を対象とした損害賠償保険に加入しておくことも必要だろう。掛け金も年間数千円という金額がほとんどなので、お守り替わりに加入しておくことが大切だろうと思う。