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「聴こえない」ということはどういうことなのか

 先日、一昨年から通っている手話講習会の進級試験が行われた。手話を学ぶということはろう者の文化と歴史を知ることでもあると常々言われてきたが、そもそも聴こえないということはどういうことなのだろうか。また、聴こえないことでどのような生活上のバリアがあるのだろうか。

 手話を学んでいるからこそそういったことを知る必要があると思い、職場の聴覚障がいメンバーに話を聞いてみた。そうすることで、今まで分かっていなかったことをいろいろと知ることができた。

■聞こえなくて困ること

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  健聴者は普段なにげなく音を聞いて情報を得ていまるが、聴こえない方は当然のことながら音としての情報が一切入ってこない。生まれつき聴こえない方はそれが当たり前の世界だが、健聴者の中に入るとこんなことに困っているようだ。

 ○学校や会社

・朝の会での先生の言葉が分からず忘れ物をしてしまう

・始業・終業のチャイムが分からず出遅れてしまう

・校内放送での周知情報が分からない

・体育の授業で後方からの呼びかけが分からずチームプレイができない

・会議の席で一斉に話されると会話のつながりがわからない

・非常警報が鳴っても聞こえないので迅速な避難ができない

○日常生活

・テレビ・ラジオ・映画で字幕がないと情報を得られない

・エレベータの非常ボタンを使って緊急状況を伝えられない

・ドライブスルーで買い物をすることができない

・目覚まし時計やドアチャイムの音が聞こえず合図にならない

・病院での呼び出しが分からず長時間待ってしまう

・駅などでの遅延アナウンスが分からず迂回ができない

 私たちが普段何気なく利用している音声情報は、聴こえない人にとっては何の役にも立たないことがわかる。改めてこういうことなんだなと認識した。

■聞こえないことへの対応

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 こういった生活上のバリアについて、聴覚障がいの方々はどのように対応しているのだろうか。

○こんな工夫をしている

・地震速報が入ると自動的に点滅するフラッシュライトの利用

・設定した時間になると振動で教えてくれる振動式目覚まし時計の利用

・携帯電話やスマートフォンを使ったメールやチャット

・携帯電話やスマートフォンの音声読み上げ機能を利用した緊急時の会話

 個人で対応できることには限界がある。たとえば、職場での非常ベルの関係であればフラッシュ式の装置が必要になるし、電光掲示の設置されていない病院などでは手話通訳者に同行してもらわなければいけない。

 個人でできる対応には限界があるので、少しでも周囲が対応を補助する体制を作っていくことが大切なことだといえる。

■私たちにできること

 最近「合理的配慮」という言葉を良く聞くようになった。「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」の成立に伴い、障がいのある方にとってのバリアとなるものを積極的に取り除こうという取り組みだ。

 「合理的配慮」に関しては現在いろいろな議論がなされている最中だが、それ以前に私たち自身でできることがたくさんあると思う。聴覚障がいに関しては手話を勉強することもそのひとつだし、駅で運休などのアナウンスが流れていたらメールで教えてあげることなどもその一つではないだろうか。

 できることからまずは始める。そして、要は相手を思いやる「心配り」を大切にする。そういったことを常に意識していきたいと思う。