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活版印刷は美しい!「活版工房」主催のワークショップに参加してきた

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 時代とともにデジタル化が急速に進み、徐々に廃れてきた活版印刷。しかし、活版印刷には独特の温かみのある字体や手作り感があり、若手デザイナーなどを中心に人気が出始めている。

 ひとつひとつの文字を拾い、字の間隔や全体のレイアウトを手作業で行う活版印刷は、まさに心のこもった手づくり品であり職人技だと言える。以前から興味があった活版印刷を、実際に体験できるワークショップに参加してきた。

■活版工房の活動

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 参加させていただいたのは「活版工房」が主催する「活版印刷ワークショップ ~初心者向け和文名刺編~」というワークショップ。東京都中央区湊にある実際の活版印刷工房に集合し、活字を拾う文選から始まり、版組み、印刷を経て活字などを棚に戻す解版まで、活版印刷の作業を一通り体験するというもの。

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 今まで見たことも聞いたことも無い道具を見せていただき、使い方をその場でレクチャーしていただく。「覚えなくても大丈夫。すべてサポートしてもらえるよ」という言葉に胸をなで下ろしつつ、これから行う作業に胸がときめいてくる。

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(「活版工房」のHPから参照)

 今回は自分の名刺を実際に作るというワークショップだったが、氏名や住所、電話番号にメールアドレスの文字を、ひとつひとつ棚から拾ってきて文選箱という小さな木箱に入れていく。

 それを今度はステッキという活字を組むための道具に並べながら、名刺上に印刷される文字の字間や行間、全体のレイアウトを整えていく。文字の上下左右が反転していため、頭の中で出来上がりのイメージを整えつつ行う作業は、非常に想像力が必要な作業だと感じた。

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 今回使用した印刷機はテフートやテキンと呼ばれる手動式の活版印刷機で、用紙を一枚ずつセットして印刷していく。一枚ずつ印刷して行く作業はとても大変な作業ながら、心を込めて印刷物を作って行くという感覚を覚えた。

■「活版工房」の取り組み

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 「活版工房」の活動は活版印刷の良さを知ってもらうことを目的に2006年から始まり、スタートしてから今回まで実に66回のワークショップを開催してきている。コンスタントな開催は事務局の皆さんや印刷会社の皆さんの努力の結果だと思うが、「楽しくやってるだけなんだよ」という言葉には活版印刷に対する愛情を感じる。

 今回のワークショップは冒頭で活版印刷の基礎知識的な話があったが、その中でも説明して下さった三木さんからは「勉強じゃないんだから覚えなくても良い。実際に活字を触ったり組んだりすることを楽しいで欲しい」という話があった。また、「活字で印刷された文字は美しい。独特の”ハネ”の部分はデジタル印刷では表現できない」という言葉には、活版印刷への愛情と職人気質を感じた。

 日本産業の高度成長期を支えた活版印刷は、日本産業の成長とともに忘れられて行くという経過を辿った。しかし、電子書籍や電子出版などのデジタル化が進むに連れて、逆に活版印刷の文字が醸し出す美しさや温かさに若い世代が反応し、「新しいもの」として再び脚光を浴びつつある。

 活版印刷は単なる仕事のひとつではなく、ある意味では「文化」としての良さも兼ね備えていると思う。再び見直されてきた活版印刷。私も一台テキンが欲しくなってしまった。

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