昭和30年代生まれの私にとっては、銭湯は普段の生活の中にある憩いの場だった。私が子どもの頃に住んでいた家の近くに銭湯があって、建物の裏に回ると焚き付け用の木材チップが小山のように積まれていた。そこに入り込んでは小山の上から滑って降りて、お風呂屋さんのおじさんにこっぴどく叱れていたのを思い出す。
最近はスーパー銭湯と呼ばれる入浴施設があるが、銭湯には地元の生活感というか「人」を感じさせる雰囲気があって大好きだ。
■全国の銭湯もまだまだ頑張っている
戦後、都市人口の増加によって増え続けた銭湯は、 1965年(昭和40年)頃には全国で約2万2000軒あった。その後、自宅にお風呂があることが一般的になったことから徐々に減少傾向となり、平成22年時点では全国浴場組合に加盟している銭湯は3,848軒に減ってしまった。
最近人気のスーパー銭湯は除いた数だが、 私が住む地域を見ても確かに銭湯の数は減ってきているなと思う。
それでも「全国浴場組合」のホームページを見ると、 いろいろな情報が掲載されていて「まだまだ元気!」という感じを受ける。
面白いなと思ったのは「はじめての銭湯」というページ。初めて銭湯に行く人のためにいろいろな情報が掲載されているが、考えてみれば「銭湯に行ったことが無い」という若い方や中高生もいるんだろうなと思う。
例えば「番台?フロント?」という部分には、次のように解説が書かれていた。
構造上、銭湯は大きく2つのタイプがあります。 番台式とフロント式。番台式の銭湯は、入り口から男湯と女湯に分かれているところがほとんどです。入り口を間違えないように。玄関の左右に下駄箱がある銭湯は番台式です。一般に、分かれる場所には、暖簾や扉に男または女と書かれています。
なるほど、これは親切だ。 銭湯は生活の一部として長い間活躍してきている入浴施設なので、 日帰り温泉施設のようにフロントがあるわけではない。そういったことひとつをとっても、銭湯の担ってきた役割には特筆するものがあるなと思う。
■銭湯には人と人とのつながりがある
私がいつも拝見しているブログに、銭湯を題材とした「せんとガール」というサイトがある。スーパー銭湯などのきらびやかな銭湯ではなく、昔ながらの銭湯をとりあげて紹介しているサイトだ。
銭湯の設備やサービスを紹介するだけではなく、そこに働く人々や周辺の雰囲気、銭湯を取り巻く様々なことなどが取り上げられていて興味深い。ノスタルジーを感じるだけではなく、「銭湯」という場所を中心にしてその場所に流れている時間をも感じさせてくれるのが良い。
このサイトの記事を拝見するたびに「銭湯に行ってのんびりしたいな〜」と思うのは私だけではないと思う。銭湯の魅力というのは、実は「人と人とのつながりがある」ということなのかもしれない。
私も時間を作ってのんびりと近所の銭湯に足を運んでみようと思う。