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今回も魅せられました「内藤さゆり写真展:Once in a Blue Moon」(東京港区)

 好きな写真家さんの写真展があるとソワソワしてしまう。それは、そこに出かければきっと心に響く何かをいただけるという予感があるからかもしれない。今回足を運んだ写真展では、予想どおり心に響く写真に出会った。

■「Once in a Blue Moon」

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 先日ご紹介した内藤さゆりさんの写真展「内藤さゆり写真展:Once in a Blue Moon」。9月19日(金)から、品川駅近くのキヤノン S タワーにおいて開催されている。さっそく出かけてみた。

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 品川駅港南口から歩くこと8分。近代的なビル群を見ながら歩いて行くと、写真展が開催されているキヤノンSタワーに到着する。私が品川駅港南口に勤務していたのはもう20年近く前だが、その頃の面影は一切無いぐらい近代的な街になっている。

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 1Fのギャラリーで写真展が開催されている。写真撮影が禁止なのはもちろんのことなので内部は撮影していないが、今回もまた素敵な写真の数々を鑑賞させていただいた。

 照明を落としたギャラリー内には静かな音楽が流れ、スポットライトで暗闇に浮かぶように展示されている写真は、内藤さゆりが醸し出す独特の街並みポートレイトにマッチしていた。

 今回の写真の舞台はイギリスのロンドン。人が写っていないのに人の気配を感じさせる街並みのポートレイトは、ゆっくりとじっくりと鑑賞すべき作品群だと思う。

■影の使い方で光を感じる

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 内藤さゆりさんのホームページ「SAYURI NAITO PHOTOGRAPHS」にもメインで表示されている写真。今回の写真展のメインとなっている写真だ。

 写真展のタイトルとなっている「Once in a Blue Moon」とは、月がごく稀に空気中の細かい霧のために青く輝いて見える現象のこと。「ごく稀に、めったにない」と訳されるこの言葉は、現在では詩的表現として使われているらしい。 

  タイトルの表すとおり、今回の写真展は月夜を思い起こさせるような「影」がふんだんに使われている。全体的に影の部分が多い写真なのに、逆に「光」を感じてしまうのはなぜなんだろう。不思議な感覚を呼び起こされる写真に、思わず見入ってしまった。いや、きっと魅入ったという表現の方が正確かもしれない。 


素敵な写真集なんです「4月25日橋」(内藤さゆり) - おやこでポレポレ

 私が内藤さゆりさんの写真と出会ったのは、東京都写真美術館で開催された写真展でのこと。「4月25日橋」という写真集も写真展の後に購入させていただいたが、その時に感じた写真の印象と、今回拝見した写真展の写真とでは光と影が正反対の使い方をされているなと感じた。

 今回のメインとなっている写真やその他の写真が素晴らしいのは当然のことながら、私が最後まで写真を見た後に再び戻って魅入ってしまったのは他の写真だった。その写真は小さいサイズだったが、ドアの鍵穴が写されている写真と、その隣に掲げられていた木製の椅子の写真の2枚。

 会場でいただいた小冊子にも載っていないこの2枚の写真は、中央部分にしか光が当たっていないにもかかわらず全体的な光を感じさせてくれて、2枚の写真を見ているうちにロンドンの一軒の家に入り込んだような錯覚を覚えた。この2枚の写真を見るために、もう一度写真展を観に行こうと思う。

■ご本人が会場にいらっしゃった

 私がギャラリーを訪れた時に、会場にたまたま内藤さゆりさんご本人がいらっしゃった。入り口に「本日作家在室」というような立て札があったのはチラッと見たが、会場が暗いため最初はご本人がいらっしゃるとはまったく思わなかった。

 写真を見終わって初めてご本人がいらっしゃるのに気がついたが、自分が大好きな写真家さんと突然出会ったことで勝手に緊張してしまい、「ありがとうございました」と意味の分からない言葉をおかけして退室してしまった。それに対して「ありがとうございました」と優しく返事をしてくださったのには、恐縮しつつもありがたいことだと感じた。

 一度ご本人とお話をさせていただきたいと思っていたが、いざとなると意気地なしになってしまう。それでも、ご本人とお会いすることができた(お見かけすることができた)ことは非常に嬉しく、これからも陰ながら応援させていただきたいなと思った。

 今回の写真展で展示されていた写真を含めて、新しい写真集の発売を心待ちにしたい。その際には、ぜひ「鍵穴の写真」と「木目の椅子の写真」もぜひ盛り込んで欲しいなと、勝手な希望を勝手に書かせていただくことにする。