今週のお題「自由研究」
夏休みの自由研究はいろいろあると思うが、「何かを作る」というのは自由研究の王道だろう。何でも買える時代だからこそ、あえて手づくりをするというのも良い。今回は私の会社で企画したワークショップから、「紙パックからハガキを作る方法」をご紹介したい。
■紙の原料から作る「手すき紙ハガキ」
実施したワークショップは「お酒の紙パックや牛乳パックからハガキを作る」というもの。フイルムを剥がしてパルプをそのままハガキにするのではなく、一旦繊維にして漉き直すという本格的な紙すきだ。
この紙すきワークショップは、本格的な紙すきとはいえ特別な道具が必要なわけではないので、家庭でもそのまま行えるようになっている。道具は100円ショップなどで購入可能なものばかりだ。
□使用する道具・材料
〔材料〕お酒の紙パック又は牛乳パック、模様になる切り絵など
〔道具〕○材料づくり
ガムテープ、丸棒、ミキサー
○紙すき
衣装ケース、木枠×2、金属網、不識布、板
○水取り・圧縮
タオル、丸棒(材料づくりから流用)
○乾燥
アイロン
■原料を作る
まずは原料づくり。お酒の紙パックや牛乳パックを切り開いて、両面にあるフイルムを剥がすことから始める。写真の原料はお酒の紙パックなので内側にアルミが貼ってあり、牛乳パックよりも作業が行いやすい。
表面のフイルムは薄いので剥がすのが大変だが、パックの端をガムテープを使って立ち上げ、それを丸い棒に巻き付けていくと割と剥がしやすい。紙パックは製造過程で繊維の流れがあるので、両端を立ち上げて手で触り、薄い方から剥がしていくと材料をたくさん取ることができる。
フイルムが残るとハガキにした時に表面にムラができるので、剥がし残しの無いように十分注意しよう。
原料となる紙パックのパルプを取り出したら、細かくちぎってミキサーの中に入れる。細かければ細かいほどミキサーに負担がかからないので、家庭用シュレッダーがあればそれを使って細かくするのも良い。
紙片が大きいとジューサーの安全装置が働いてストップしてしまうことがあるが、安全装置をその都度リセットして撹拌していくと徐々にどろっとした原料が出来上がる。
■紙をすく
衣装ケースに原料を入れて良くかき混ぜる。今回は大量の紙をすくのに大型の衣装ケースを使ったが、家庭で行うのであれば台所用の洗い桶でも十分だ。
紙すき道具は100円ショップなどで売っている木枠を使い、二つの木枠の間に金属製の網を挟んだものを使う。木枠が見つからなければ写真立てをくりぬいても良いだろう。
木枠と網は手でしっかりと押さえて原料の中にまっすぐに入れ、そのままゆっくりと持ち上げる。持ち上げた後に素早く前後左右に細かく揺すると、ムラの無い綺麗な紙が作れる。
漉いた枠を置いたら静かに木枠の上の部分を取り外す。その後、模様となる切り絵などを置くと楽しい。この後、漉いた紙の上に不識布を置き、金網ごとひっくり返して静かに金網も外す。そのまま金網の替わりに木の板を置いてもう一度ひっくり返す。
■水分を抜く
この段階では、下から「板」「手すき紙」「不識布」の順番になっているので、吸水性の良いタオルなどを不識布の上に置いて、その上から手や丸棒を使ってギューギューと押して圧縮する。こうすることで水分が抜けるとともに、圧縮されることで繊維の目が詰まって表面が綺麗なハガキとなる。
この作業は地味な作業ながら大切なことなので、しっかりと行おう。
■乾燥・完成
すばやく乾燥させたいのなら、不織布の上から高温に設定したアイロンを当てる。この段階でもかなり水分を含んでいるので乾くまで少し時間がかかるが、全体的に白っぽくなってきたら板からはがれやすくなるので、その段階になるまでしっかりとアイロンを当てる。
板からはがれたら裏返してもう一度アイロンを当てて、ある程度乾いたら新聞などに包み押し花の要領で重しを置いて紙の反りを修正する。
乾燥させるのを急がない場合には風通しの良い場所や日当りの良い場所に置いても良いだろうし、窓ガラスに貼付けておいても良いかもしれない。
しっかり乾いたら出来上がり。模様のついた固い紙を置いて圧縮・乾燥を行い、最後に固い紙を取り除くと写真のようにエンボス加工のような模様をつけることもできる。
ご家庭でも簡単に楽しめる紙すき。ご興味があればぜひお試しください。