新サービス、新商品、新規事業など、「新」がつく言葉は魅力的な仕事だ。今までにない新しいものを生み出すというのは、やりがいのある仕事だと思う。
しかし、そうはいっても新しいものを生み出すというのは、想像以上にかなり難しいことでもある。そのためにはどうすれば良いか。知恵を絞る前に、ひたすらインプットを繰り返すのが近道のようだ。
■無い知恵は絞れない
新しいことを考えるときに耳にするのが「無い知恵を絞る」という言葉。辞書を引くと「懸命に考えて良い意見を出そうとすること」という意味が書かれている。
確かに「無い知恵を絞る」という言葉には、ひたすら考えているという苦しい姿をイメージさせるものがある。しかし、そもそも無い知恵を絞ったところですぐに良い案が浮かぶわけでもなく、極端な言い方をすれば「無い知恵は絞っても何も出てこない」のである。
個人的な意見を書かせていただくと、一生懸命に考えた末に出てきた案というのは、実は「無い知恵」ではなく「仕舞っていた知識」だということが多い。昔見たことがある、聞いたことがあるという知識や情報が、考え抜いた末にひょっこり出てきただけなんだということがほとんどだ。
カラカラに乾いた雑巾を絞っても水が出てこないのと同じで、やはり「無い知恵」は絞ったところで何も出てこないのだと思う。
■真似をすることから始まる
どこかで素敵なサービスや商品があった時に、それを真似して新しいことを生み出すという方法がある。一から十まで真似をしたのではただの「模倣」となるが、アイデアとして取り込んだり膨らませたりするのは、決して恥ずかしいことではない。
まったくのオリジナルを考えつくことができるのは、ほんの一握りの天才だけではないだろうか。天才は無から有を生み出すことができるが、凡才の私にはとうてい無理なことである。
だからこそ、他のモデルを参考にして何かを考えることは大切なことで、それは決してアイデアをぬすむということにはならない。「アイデアを参考にする」ということだと思う。
■ひたすらインプットすることで活路が開く
新しいものを生み出すには、とにかく日頃からいろいろなことに興味を持って、広く浅く知識をインプットしておくことが大切だ。興味を惹かれるようなことがあれば、さらに深堀りしてみるのも良い。
ここで大切なのは「常にいろいろなことに興味をもっておく」ということであり、好奇心を持って物事を見る力が必要だということだ。
人間誰しも興味のあることには注意が向く。ゴルフが好きな人は新しいゴルフセットが気になり、写真撮影が趣味の人は新しいカメラの情報が真っ先に目に入ると思う。
ただ漫然と情報収集を行うのではなく、好奇心を持って「何か面白いことはないかな」という気持ちで情報を眺める。そうすることで、インプットされる情報の量が格段に多くなり、質の高いものが集まるようになる。
そういう情報収集の積み重ねを行うことによって、新サービスや新商品を考える時の「ひらめき」につながるのではないかと思う。
■自分が楽しいと感じるものを思い浮かべる
新サービスや新商品を考える時には顧客目線になることが大切だが、これが簡単にできそうでなかなか難しい。どうしてもサービスや商品を提供する側の目線で考えてしまいがちだ。
そんな時には、思いついたサービスや商品に自分自身がワクワクするか、欲しいと思うかをまずは考えてみたい。そのためには、新しいものの基となった情報に自分がワクワクしたかを振返ってみるのも良い。
自分が面白いと思ったものや欲しいと思ったものは、必ず同じように考える人がいると信じたほうが良い。そのほうが発想は先に進むし、「このサービスは受けるかな」とか「この商品は売れるかな」と考えてしまうと必ずネガティブな方向に思考が向かってしまう。
ワクワク感というといい加減なものと思われがちだが、情報をひたすらインプットした後に感じるワクワク感というのは、単なる思いつきではなく「たくさんの情報に基づいた感情のアウトプット」だと捉えたい。
最後に身近で信頼できる人に客観的な意見を聞いてみることで、新サービス・新商品がさらにブラッシュアップできるのではないかと思う。
発想をカタチにする技術 新しさを生みだす“ありきたり"の壊し方
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