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福祉と社会を結ぶ”福祉プロダクト”という仕事/新潟「koro」事務所訪問

 福祉と社会とを結びつける活動をされている女性ユニット「koro」。新潟に事務所を構えて福祉プロダクトの企画・販売を手がけているユニットだが、先日ご縁があって事務所を訪問してきた。そこは地に足をつけた活動の拠点で、どこか懐かしくて心落ち着く空間だった。

■「koro」の活動

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 「koro」は中嶋さんと小林さんというお二人の女性が始めたユニット。福祉施設で作られた製品の販路拡大や商品の企画・販売を行っている。現在は中嶋さんが出産のため一時的に活動を停止しており、小林さんがお一人で活動を継続している。

 koroのお二人が主に取り組んでいるのは商品開発と商品流通経路の確立。 商品としての価値あるデザインを福祉施設と一緒になって考えるとともに、 自らも福祉施設から商品を買い付けて販売を行っている。

 手がけている商品は多岐に渡っており、雑貨や文房具からクッキーなどの食品まで幅広い。最終的には売れることが目的だが、それ以前に「どうすれば売れるか」を福祉施設とともに考えることが大切だと彼女達は考えている。

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 例えば色とりどりのカラフルなキャンドル。これも福祉作業所で作られた商品だが、「商品として売る」ということだけではなく「作る過程」も商材にならないかと考える。

 「作り方」を明文化することによりワークショップを開催し、出来上がったものを持ち帰ってもらう。そうすることで、商品の良さだけではなく作る過程への理解も深まるのではないかという考え方だ。

 プロダクトという言葉は、マーケティング用語としては「どのような製品・商品を販売するかの方針を立てる」という意味がある。それを福祉と社会を結ぶ活動につなげるためには、福祉の現場を良く知るとともに、他者とのアライアンスや調整をも考え実践出来る幅広い知識と行動力が必要だと感じた。

 「面白くてやりがいがあるけれども難しい」。それが福祉プロダクトに対して感じた印象だった。

■デザインは商品価値を高める

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 koroさんの事務所は古い長屋を自力で改装した趣のある部屋だが、室内に置かれている商品のデザインに目を惹き付けられる。koroさんがデザインを手がけられたものもあれば、元々のデザインが良かったものなどいろいろとあるが、どれも思わず手に取りたくなるようなものばかりだ。

 一般的には福祉作業所等では商品の製造・製作を行うノウハウはあるが、それをどう営業して商流に乗せるのかという知識やノウハウは持ち合わせていない。製造から営業・販売まで一元的に積極的に行っている作業所もあるにはあるが、それはまだまだ限られた一部の福祉施設に限られている。

 koroさんが手がけている商品を見ると、思わず手に取り部屋に置きたくなる商品が多い。部屋に置きたくなる、使いたくなるという気持ちにさせてくれるのはデザインの力だと思うし、それは商品だけではなくパンフレットやポスターにも言えることだと思う。

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 商品のデザインだけではなく、ディスプレイなども含めた「演出」も大切だ。くるみボタンをただ単に並べるのではなく、ちょっとした器に入れてみたり台紙に取り付けてみたりという”ちっとしたこと”が商品価値を高める。

 デザインのもつ力、演出の持つ力というのは、福祉商品だけではなくすべての商品に必要なことだが、大量生産が出来ない福祉商品においてはさらに重要なことだと思う。デザイン、演出の持つ力を十分に発揮することこそ「福祉と社会を結ぶ」ことのひとつの原動力と推進力になるのではないだろうか。

 デザインと演出の力を感じさせるkoroさんの活動。これからも応援していきたい。