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福祉作業所の食材を流通させる「welfare trade foods」を考える

 リレー形式のような記事になってしまい恐縮だが、昨日ご紹介した新潟のkoroさんが取り組まれていることのひとつに「welfare trade foods」がある。昨日は軽く紹介しただけだったが、考えてみればとても深い内容の取り組みなんだなと感じた。少し掘り下げて考えてみたい。

■食材・商品を流通させる「welfare trade foods」

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http://koro-koro.jimdo.com/welfare-trade-foods/

 新潟で「福祉と社会をつなぐ」という取り組みをしているユニットkoro。彼女たちが提唱しているのが「welfare trade foods」という取り組みだ。「welfare trade foods」はkoroさんの造語で、福祉施設でつくられた食材や食品や製品のことをさしている。

welfare trade foodsとは?

福祉施設では、クッキーやパン、野菜や麺類といった実に様々な食品を製造しています。 koroでは、その食品たちのことを「welfare trade foods」と名付けました。 商品となった食品を「食材」として流通させ、その食品のあらたな可能性を探り、また、背景にある福祉施設のものづくりのよさを伝えることを目的としています。(http://koro-koro.jimdo.com/welfare-trade-foods/) 

 福祉施設で作られたパンやクッキーを買ったことのある方もいらっしゃると思うし、最近では野菜なども作っているので、そういったものを買ったことがある方もいらっしゃるかもしれない。

 そういった「製品」「生産物」は販売会などで売られているが、安定した商流というのはほとんどの福祉施設では備えていないと思う。

 安定した商流が確立されれば、生産計画も立てやすくなるだろうし、安定した収入として施設側に入ることになる。そして、施設側に安定した収入が入れば福祉施設の利用者(製作、生産する方)の工賃も上がり、安定した生活の一助となる。

 しかし、”言うは安し”という言葉のとおり、企業でも安定した商流を開拓したり確保したりするのは大変である。ましてや、少人数で日々の施設管理や利用者対応を行っている福祉施設にとっては、二の次、三の次のことになるのではないだろうか(そもそも経験とスキルも不足気味だとは思うが)。

 そこで、koroさんのようなプロダクト企画・販売を行う人が、「必要とする人」に「必要とされる」ようになってくる。作って売るだけではなく、売れるような仕掛けをしたり商流を考えたり調整したりするというのは、生産当事者ではないからこそ生まれるアイデアも多いのではないだろうか。

■「売る」のではなく「楽しむ」

 koroさんのホームページには、「welfare trade foods」に関する事項はそれほど多くは書かれていない。きっと、現在進行形の取り組みであり、慌てずじっくりと取り組んでいるのではないだろうか。

welfare trade foodsの楽しみ方

・一般の方向け

◎ウェルごはんの会

welfare(福祉)+ごはん=ウェルごはん 

welfare trade foodsを使って作られたお料理を思いっきり楽しむ会です。

koroの企画で不定期開催。

◎提携店舗

happy green cafe/新潟県立植物園内

・業者さん向け

◎食材としての卸販売

koroがセレクトした食品を食材としてご提案します。

カフェのメーニューの一部などに採用していただけると嬉しいです。

(http://koro-koro.jimdo.com/welfare-trade-foods/)

  koroさんのブログを拝見すると「ウェルごはんの会」に関する記事があって、素材を提供する方々と食べる方々の様子が書かれているものがある。それを見ると、商売気やアピールは感じられず、koroさん自身が「楽しんでいる」様子がうかがえる。

 この「楽しむ」というのがkoroさんの特徴のひとつで、新商品の開発にしてもイベントの開催にしても、福祉施設側も企画側も楽しみながら取り組んでいるように見受けられる。

 新しいことを始めようとすると、とかく眉間にしわを寄せて取り組んでしまいがちだ。しかし、あえて肩の力を抜いて「楽しむ」ということを忘れないでいることで、柔軟な発想と新たなアイデアが生まれるのではないだろうか。

 何よりも「楽しくやっている人」には自然と人が集まってくる。koroさんにはそんな「人が集まってくる力」がある。

■「welfare trade foods」の今後

 「welfare trade foods」は生産された商品や食材を流通させることが一義的な目的だが、それ以上に「知ってもらう」ということがテーマとしてあるように思える。

 福祉作業所で作られた商品や製品や食材は、収入のためというよりも「働くことの喜び」の延長線として作られていると思う。うまくいえなくてもどかしい感じがするが、その商品や製品や食材ひとつひとつに物語が流れていると感じる。

 その製作者の「想い」を感じるためにも、楽しく食べる「welfare trade foods」という取り組みが必要で、「知ること」「想いを感じること」の延長線上として流通があり商流が生まれてくるのではないだろうか。

 近いうちにkoroさんに確かめてみたい。