昨年4月から通い続けてきた自治体主催の手話講習会。毎週土曜日の午前中に行われる2時間の講座が全38回。何とかすべての講座に出席して皆勤賞をいただきました。
生まれて初めて習った手話も一年近く継続して学ぶとそれなりに覚えてきて、今では簡単な挨拶や会話ができるまでになりました。
■努力は薄い紙を重ねる作業
私が手話を勉強しようと思ったのは、転勤先の職場にいる聴覚障がいの仲間から「口の動きを読む口話(こうわ)はものすごく神経が疲れる」という話を聞いたのがきっかけ。
手話を覚えることで少しでも楽に会話ができるようになればという気持ちで始めましたが、これが思った以上に難しくてなかなか覚えられず、最初のうちは落ち込んでばかりいました。
それでも毎週講習会で学ぶだけではなく、会社の行き帰りの電車の中で指文字を覚えたりテキストを読んだりするうちに、少しずつですが自然と指が動くようになってきたんです。
それを感じたのが習い始めて3ヶ月目ぐらいのことでしょうか。頭の中に浮かんだ簡単な会話に自然と指が動いた時には自分でも驚いてしまい、そこからは覚えるのがとても楽しくなってきました。
振り返ってみると、「努力」というのは薄い紙を一枚一枚重ねていく作業と同じ。丁寧に積み重ねていくと薄い紙でもしっかりとした本になるのと同じだなと感じました。
■親子で切磋琢磨されている方も
私が毎週頑張って通えたのは家族の協力があってこそですが、それとともに一緒に学んでいる「仲間」の存在も大きかったと思います。
年令も性別もバラバラの受講生20数名ですが、毎回勉強法やテキストのことなどを話し、時には協力して課題に取り組むことで毎週楽しく学ぶことができました。
そのなかの一人に娘さんが大学を卒業される方がいらっしゃいました。
とても熱心に受講されている方で手話もみるみる上手になられましたし、講習会以外でも手話サークルに入って平日も勉強されるという努力家。
先日行われた修了式後のお茶会の時にいろいろとお話を伺いましたが、昨年から娘さんが就職活動を開始していて、その姿を見ていたら自分も頑張らなくちゃいけないと思われたんだそうです。
面接の結果がダメでもくじけず、何社も何社もエントリーシートを提出し、暑い日も寒い日も面接のために出かけていく娘さん。”自分も仕事と手話を一生懸命に頑張っている姿を見せたい”と思い、頑張ってこられたんだそうです。
「親の背中を子どもに見せる」ということを実践されていたわけですが、お話を聞いて「娘さんの頑張る姿がお母さんを頑張らせて、それを見てまた娘さんも頑張れたんだな」と感じました。
こういう「ポジティブなスパイラル」というのはとても大切ですし、そういったことが自然とできる親子関係というのは素晴らしいですよね。
我が家のむすこも今年の春から高校生。そんな素敵なスパイラルができるように、これからも地道に勉強を続けていきたいなと感じた素敵なお話でした。