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〔P〕「ぐるぐる猿と歌う鳥」(加納朋子)

 本好きの知人からオススメ本を伝えるメールが届くことがあります。私の好みを知っていて教えてくれるオススメ本は、読んでみて確かに素晴らしいと思える本ばかりです。今回、知人のNさんからメールで教えてもらった一冊も、読んでみて感動する素晴らしい一冊でした。

■かつて子どもだった人へ。

ぐるぐる猿と歌う鳥 (講談社文庫)

 今日ご紹介するのは加納朋子さんの「ぐるぐる猿と歌う鳥」という一冊。文庫の帯に書いてある「かつて子どもだった人へ。」という言葉のとおり、子どもだった頃を思い出させる温かい物語でした。

“父の転勤で北九州の社宅へ引っ越して来た高見森。同じ社宅に住む子どもたちと仲良くなるにつれ、彼らがある秘密を共有していることに気づく。そして「パック」と呼ばれる謎の少年には、ある役割があったー。理不尽な想いを抱える仲間を守り、仲間に守られながら生きる少年少女たちの、清々しく明るい物語。”(「BOOK」データベースより)

 物語は主人公の高見森(たかみ しん)が幼稚園児の頃の出来事から始まります。幼い頃から無鉄砲でやんちゃだった森は、ある日ボールが転がり込んだ団地の庭に潜り込んで、一人の可愛い女の子と出会います。

 1階のベランダから脱出するための縄梯子を作ってあげて、家を抜け出して一緒に遊ぶ森と女の子。乱暴者だったおかげで友達がいなかった森にとって、生まれて初めて友達と呼べる女の子との出会いも、ある日の事件で二度と合えなくなってしまいます。

 そこから物語は森が小学5年生になり、父親の転勤で北九州に引っ越してくる場面に転換します。慣れない転校生活の中で徐々に増えてくる友達。そして、パックと呼ばれる謎の同級生。無鉄砲な森の心に残っていた幼い頃からのわだかまりが、周囲の仲間と過ごすことによって徐々にほどけてきます。

 温かい物が足りながらミステリーの要素もあって、ラストには思いがけないクライマックスを迎えることになるのですが、それも加納朋子さんらしい「フワッとしたカフェラテのような、温かくて優しい」結末を迎えます。

 新年から素敵な物語に出会うことが出来ました。書店の平台に積まれていることの多い文庫化された一冊ですので、皆さんも見かけたら一度手に取ってみてください。オススメですよ。

ぐるぐる猿と歌う鳥 (講談社文庫)

ぐるぐる猿と歌う鳥 (講談社文庫)