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読んでみて良かった・・・「博士の愛した数式」(小川洋子)

 有名な小説で「読んでみたいな」と思いながらも、なかなか読むことが出来ないという小説があります。今の気分に合わなかったり、有名すぎて逆に読む気がしなかったりするという単純な理由ですが、読んでみてこそ味わえる感動があります。今回もそんな感動を味わえた一冊でした。

■哀しくて、せつなくて、心が温かくなる一冊

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 今日ご紹介するのは小川洋子さんの「博士の愛した数式」という一冊。映画化もされた有名な物語ですので、読んだ方も多いのではないでしょうか。
【内容情報】(「BOOK」データベースより) 「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていたー記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。
 小川洋子さんの小説には、なんらかの障がいを持った人物が主人公として登場することがありますが、この物語も交通事故によって高次脳機能障害になったと思われる数学者が主人公として登場します。
 年老いた義姉が有する屋敷の離れに一人で住む彼は、記憶が80分しかもたないため身の回りの世話をするための家政婦が通っています。しかし、どの家政婦も長続きせず、義姉に次々と交代させられてしまいます。
 新しい家政婦として通うようになった「私」は、博士の数学に関する素晴らしい知識と愛すべき人柄に接していくうちに、息子とともに博士の”友だち”として心を通わせるようになります。
 静かで、穏やかで、少し哀しくて、でも心が温まるという結末が待っていますが、そこに至るまでの過程が丁寧に描写されていて、本を閉じたときに思わずため息が出てしまいました。
 名作はやはり読んだほうが良い。単純なことながら、あらためてそう思いました。皆さんもぜひ。オススメです。
博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 

 

  ■雑誌「コトノネ」が導いてくれた本

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 今回、小川洋子さんの本を読む後押しをしてくれたのが雑誌「コトノネVol.08」障がい者情報雑誌として、とても綺麗な写真と心温まる文章で楽しませてくれる一冊です。
 その特集インタビューに登場していたのが、作家の小川洋子さん。小川さんの本は何冊か読んだことがありましたが、「博士の愛した数式」はあまりにも有名で読んだ気になっていました。しかし、インタビュー記事を読んで小川さんの考えや人柄に触れ、これは読んでみなくてはいけないなと思い書店で買い求めました。
 本との出会いは色々なところに転がっていますが、直感的に「読んでみたい」と思った本は読んだほうが良い。今まで続けてきた習慣は、やはり間違っていなかったなと思いました。