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【新刊紹介】「佐藤ジュンコのおなか福福日記 (手売りブックス)」(佐藤ジュンコ)

旅の記憶は食べ物とリンクしている。だからこそ、旅での食事は手を抜いてはいけない。旅の思い出は、その場所での食事が旅先の名所旧跡や景色などに紐付けられていることが多いからだ。

毎年何回か家族でささやかな旅をするが、観光地での思い出もさることながら、旅先での食事やちょっとしたおやつのことなどをいつも懐かしく思い出す。旅先がどんな場所だったのか、景色や名所旧跡はどうだったのかという記憶は薄れても、その場で食べた名物は食べたりしたかは良く思い出すのだ。思い出すことで芋弦式に記憶がよみがえることも多々ある。

きっと“食べる”ということが人間の本能のひとつであり、それを場所や時間とリンクさせることによって、無意識のうちに「次の獲物」を得るときの助けにしているのかもしれない。

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佐藤ジュンコさんは仙台在住のイラストレーターだが、とても優しい雰囲気のイラストを描かれる方だ。 以前から佐藤さんが描かれるのコミックエッセイのファンだが、先日発売された「佐藤ジュンコのおなか福福日記 (手売りブックス)」も、地元や旅先で味わった季節の味と、親しい仲間や一期一会の人たちとの思い出が綴られているとても素敵な一冊だ。

佐藤ジュンコさんの描かれるコミックエッセイは、「佐藤ジュンコさんの目を通した世の中」を描いているところが最高に良い。他の人がどう思うかではなく、自分はこう感じてこう思ったということが押し付けがましくなく優しく描かれているのだ。

また、イラストもさることながら、コマの中に書き込まれている文章の一つ一つがまた良い。イラストと同じく“自分”が真ん中にあり、周囲の人々への感謝の気持ちや優しい気持ちがちりばめられている。その一言一言に飾り気がなくストレートなので、読んでいてとても爽やかな気持ちにさせてくれる。きっと、著者ご本人も正直で素直なお人柄なのだろう。

この一冊は出掛けた先やご近所での食事を紹介しているが、食事や飲み物そのものではなく周辺の出来事や関わった人のことなどが綴られている。登場する料理を食べたくなることはもとより、その場所に行きたくなってしまう一冊だ。

コミックエッセイの中にはさらっと読めてすぐに読み終わってしまうものが少なくないが、この一冊は今までの佐藤ジュンコさんの本と同じく読みごたえがある。ひとコマひとコマに描かれているイラストをじっくり見ていくと、さらに時間がかかる。腰を据えてじっくりと向き合うべき一冊なのだ。

ちなみに私は、114ページに描かれている「箸入れ」が自分の琴線に触れた。私が子どもの頃にはどこのデパートにも食堂にもあった箸入れを、佐藤ジュンコさんは「不思議なケース」と表現されていたからだ。そういった、ちょっとしたことも記憶に残して描くという感性こそが、素敵なコミックエッセイを描く素になっているのだろう。

何回でも読み返したくなる一冊だ。 

佐藤ジュンコのおなか福福日記 (手売りブックス)

佐藤ジュンコのおなか福福日記 (手売りブックス)