最近、ホッチキス針のリムーバーを使わなくなった。というよりは、ホッチキス自体も以前より使わなくなってような気がするか、「ホッチキスの針をいかに綺麗に取るか」は「ホッチキスをいかにきちんと止めるか」ということと同じくらい重要だ。
マックス社のリムーバー
ペンギンみないなホッチキスの針リムーバーです。
— Sublo (@36Sublo) 2017年5月6日
先に針を引っ掛けて指を引くとプチッととれる仕組みです。https://t.co/jV7WpGftCR pic.twitter.com/UMl1vC0qNS
先日、吉祥寺にある文具・雑貨店「36(サブロ)」のツイッターで紹介されていたのが、マックス社の「リムーバー 10号RZ-A」というホチキス針リムーバーだ。「ペンギンみたい」という表現は、なるほどそのとおりだなと妙に感心した。
リムーバーの役割りとは
現在では「ホッチキスの針を外す」という作業は、以前に比べると少なくなってきたのではないだろうか。以前というは5年前、10年前に比べてだが、その頃から比べると間違いなく少なくなってきている。
リムーバーを使うことのメリットは二つあって、一つは「きれいに外すことができる」ということであり、もう一つは「素早く外すことができる」ということである。以前はそれぞれに明確な必要性があった。
資料を手軽にファイルでやり取りすることが出来なかった時代には、増刷する際には「きれいにホッチキスの針を外してコピーし、原本をもう一度きれいに綴じる」という必要があった。今ではファイルをもらえればそのままプリンターで出力できるので、印刷されてホッチキスで綴じられた資料を「原本」として活用する必要がない。
また、資料をシュレッダーで裁断したり溶解処理を行う場合には、以前はホッチキスの針を外さなければならなかった。そのため、資料を大量に廃棄する場合には「素早く針を外す」必要があった。リムーバーを使えば指や爪も痛まないという利点もあった。
今では紙の再生技術が向上し、廃棄する際にホッチキスの針をとる必要は無くなった。ホッチキス針の箱にも「外す必要はない」と明記されているぐらいだ。
かくしてリムーバーの出番がなくなってきたのだが、それでも爪を保護するためには一つあると便利だろう。写真の10号針用 リムーバ RZ-FVのように、引き出しのペン入れに入るタイプもあるので、一つあるとちょっとした時に便利に使えると思う。
ちなみにホッチキスにも簡易なリムーバーが付いていることが多いが、「きれいに、素早く、確実に外す」という点では専用のリムーバーにはやはりかなわない。
「ホッチキス」の名前の由来
紙を綴じる道具といえば「ホッチキス」。ところがこの名称は日本だけで通じる呼び名で、海外では「ステープラー」と呼ばれることが一般的なようだ。
マックス株式会社のホームページによると、日本で初めてホッチキスを販売したのは現イトーキの伊藤喜商店。明治36年に販売を開始した。その際に発売された商品がアメリカ製で、ボディに大きく「HOTCHKISS No・1」と刻印されていたようだ。製品がE・H・HOTCHKISS社製だったため社名を刻印表示されていたのだが、この刻印から「ホッチキス」という呼び名が日本では通称となったようだ。
現在では「ホチキス」、「ホッチキス」、「ステープラ」など呼び名は色々だが、新聞用字用語集では「ホチキス」、JIS規格(日本工業規格)では「ステープラ」と、それぞれ異なった名称で定められているらしい。
ちなみに、「”ホッチキス”は商品名なので”ステープラー”と呼ぶのが正しい」と思っていたが、現在は「ホッチキス」が一般名称化しており商標登録されてはいないので、呼び名として使っても問題はないようだ。
文房具の歴史は古くて興味深いなと思う。