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「月刊 佐藤純子」(佐藤ジュンコ)、旅先の書店で出会った”読んで幸せ気分になる”コミックエッセイ

旅行に行くときには必ず文庫本を一冊持って行くようにしている。また、それ以外に必ず現地の書店で一冊買うようにしているが、旅先の書店で買う本はその書店一押しのものを選ぶようにしている。ある意味では旅行先のお土産だ。先日旅行で九州に行ったときに買った一冊もそうやって購入したものだが、グイグイと引き込まれてしまうような素敵なコミックエッセイだった。

仙台の元書店員が描く素朴なコミックエッセイ 

「月刊佐藤純子」の表紙

先日九州のとある県庁所在地のジュンク堂で見かけたのが、佐藤ジュンコさんが描かれた「 月刊佐藤純子 (ちくま文庫)」という一冊。仙台発のフリーペーパー的なコミックエッセイを一冊にまとめたものだ。

佐藤ジュンコさんのイラストを見かけたことがある方も多いと思うが、シンプルで素朴なイラストは、独特のリズムと雰囲気を持ったコミックエッセイとしても人気だ。なぜ人気があるのかというと、力まず身の丈サイズでイラストを描き、考えたことをごくごく個人的に羅列しているからだろうと思う。その普通さがたまらなく良い。

元々は仙台で書店員をしていた佐藤さんが、年賀状を出し忘れたことをフォローするために手書きのマンガで近況を書いたのが始まり。それをコピーして知人・友人に配り始めたところ、なかなか面白いと評判になったのが「月刊佐藤純子」を連続発行するきっかけなのだとか。

著者はイラストの勉強をされたことはなく、独学で描き始めたものが徐々に話題となったというのだからすごい。

■「月刊佐藤純子」

(目次)
月刊佐藤純子はじめました
ゆらゆら日記
その後の佐藤純子
イラストレーター佐藤ジュンコ
インタビュー 伊坂幸太郎
解説 南陀楼綾繁

この一冊は、佐藤さんが描いて配っていたものを集約するとともに、書籍用に新たに書き起こされたものとで構成されている。当時コピーをして配っていたものがそのまま収蔵されているので、読み進めて行くうちに徐々にイラストが上手になって行く様子も面白い。また、雨に濡れてタイトルが滲んでいる号などもリアリティがあって楽しい。

東日本大震災発生時からしばらくの間描かれていた「ゆらゆら日記」を読んでいても感じるのだが、このコミックエッセイの内容は全て佐藤さんの一人称で綴られている。技法的に一人称を使っているというのではなく、視点が全て完全に個人的なのだ。だから、突然前後の脈絡もなく個人名が出てきて不思議に思うのだが、佐藤さんが個人的に知っている人のことなので当たり前のように出てくるのだ。

そういった「実に個人的な内容」だからこそ読んでいて引き込まれるのだろうし、佐藤さんの牧歌的な実にゆったりとした生き方にどっぷりと浸ることができる。いや、浸ることができる人が、この本に引き寄せられて読むのだと思う。私もそうやって引き寄せられた一人だが、引き寄せられて幸運だった。

ジュンク堂限定の号外

ちなみに、ジュンク堂に並べられている書籍には「月刊佐藤純子 発売記念号外 ジュンク堂書店限定号」が挟まれている。A4版を四つ折りにした号外だが、ご本人が仙台のジュンク堂書店に努めていらしゃったことを記念してのことだろう。ちょっとしたことだが、とても得をしたような気になってしまうし内容も楽しい。 

お近くにジュンク堂書店があれば、一度棚をのぞいてみてはいかがだろうか。

月刊佐藤純子 (ちくま文庫 さ 44-1)

月刊佐藤純子 (ちくま文庫 さ 44-1)

 

力まず自分なりのイラストが素敵だ

下手の横好きというか、私もちょこちょことイラストを描くことがある。打ち合わせのノートや手帳などは極力絵文字で書くようにしているし、むすこが幼い頃には下手ながらもいろいろな絵やイラストを描いて一緒に遊んでいた。

私のイラスト付きはどうも母親からの影響が強いようだ。母は子育てをしながら文房具店を営んでいたが、幼い頃から良く筆で様々なイラストを描いてくれた。特に「ジャングル大帝レオ」や「ゲゲゲの鬼太郎」の絵などは素晴らしくて、習字紙にさらさらっと筆で描いてくれた絵を飽きずに見ていたものだ。

今考えてみれば、習字紙に筆で絵をさらさらと描くというのはかなり器用なことだ。今でも80才を過ぎた母が荷物を送ってきてくれる時には、必ず広告チラシの裏にゲゲゲの鬼太郎などが描かれているのが嬉しい。

そんなこともあって私もイラストを子どもの頃から描いていたが、はっきり言って子どもの頃はド下手だった。自分で言うのも何だが、水彩画も色鉛筆での絵もどうすればこうかけるのかと言うほど下手だった。

ところが、むすこが生まれてから一緒に絵を描くようになり、「むすこに通じれば良い」と言う気持ちで気楽に描くようになってからは、イラストがイラストらしくなってきたから面白い。さらに、手帳へのメモを絵文字で描くようになってからは、シンプルに特徴を捉えて描くことに集中するようになり、我ながら分かりやすいイラストになってきたと思う。

習うより慣れろというか、力まず自分なりの身の丈にあった技法で描くというのが、結局は誰から見ても分かりやすいイラストになるんだろうなと思う。もちろん、基本的なことは知っておいた方が良いと思うが、まずは「自分の身の丈に合わせて楽しく描く」というのはブログの文章書きにも通じるものがあるかもしれない。