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市民が支える映画館「新潟・市民映画館シネ・ウインド」に漂う空気感が素敵すぎる!

映画館で映画を観るのは作品にじっくりと浸れて好きだが、なんだかんだと忙しくて年に数回行くことができれば良い方だ。それでも映画館特有の雰囲気が好きで、少し早く映画館に着いてロビーの雰囲気を楽しむことが多い。広かろうが狭かろうが、映画館のロビーにはそれぞれ固有の空気感があって面白い。

新潟の市民映画館はエントランスも最高だ

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新潟市内には市民によって支えられている映画館がある。「新潟・市民映画館 シネ・ウインド」という映画館だ。先日、映画『LISTEN』のイベントで新潟に赴いたが、上映でお世話になる映画館なのでイベント前にご挨拶をさせていただいた。

JR新潟駅から海側にトコトコと歩くこと10分ほど。駅前のにぎやかな飲食店街を抜けて、新潟伊勢丹の向こう側にある万代シティ第2駐車場ビルまで歩く。目指すシネ・ウインドはビルの一階に入っていた。

イメージしていた映画館とちょっと違う。もう少し古くて昭和レトロな映画館を勝手に想像していたのだが、黒をベースとした前面ガラス張りの外装は落ち着いていてオシャレだ。

映画を観るという非日常的な時間を楽しむためには、映画館のエントランスという空間の雰囲気はとても大切だと思う。上映開始前に過ごす空間がいつもとはちょっと違うということが、映画を観るための心構えを自然と作ってくれるような気がするからだ。

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入り口を入るとすぐ正面に劇場があり、左に受付が、右側にずらりと書棚が並んだミニロビーがある。入り口の外には各種パンフレットが置いてあることや、ガラス張りで中がよく見えることなどから、とても入りやすいなという印象を持った。

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ミニ・シアターというと「入り口が狭い」「入りにくい」「古びている」というイメージを勝手に持っていたが、シネ・ウインドに関しては全く当てはまらなかった。

逆に、とてもオシャレで落ち着いていて、気軽に入ることができる雰囲気だなと感じたが、それは後述する「市民映画館」という成り立ちも関連しているのだろうと思う。 

■新潟・市民映画館シネ・ウインド

住所 新潟市中央区八千代2-1-1 万代シテイ第2駐車場ビル1F
料金 

大人1,800円、学生(高校生以上)1,500円、シニア(60歳以上)1,100円、3歳~中学生、障害者手帳等をお持ちの方、介助の方1,000円

シネ・ウインド会員(大人)1,000円、(学生・シニア)800円、 (障害者手帳等をお持ちの方)800円、(会員の子ども)500円

書斎を思わせる素敵な空間

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シネ・ウインドに入って右側には天井まで届く書棚があり、上から下までぎっしりと書籍が並べられている。これはなかなか圧巻だ。映画関連の本だけではなく、コミックや一般の書籍も並べられていて楽しい。

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さらに道路側のスペースに足を運ぶと、L字型に折れ曲がった場所にも本棚があり、こちらもずらりと書籍が並んでいる。その横には小さなテーブルと椅子が置いてあり、上映開始までのんびりと本を読みながら待つことができるようになっている。

本好きとしてはワクワクするような空間であり、落ち着いた色合いの床や内装はまるで誰かの書斎にお邪魔しているような錯覚さえ覚える。これは素敵だ。

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感想ノートやネタバレ帳などもさりげなく置いてあって、訪れた人の気配を感じることができるのも良い。

ともすると、ミニシアターはある分野に特化した知識や興味がある人だけが集まるニッチな場所になってしまうが、ここは誰もが気軽に訪れることのできる開放的な空気が漂っている。

私たちが訪れた時にも何名かの方がふらりと入ってきて本棚や上映スケジュールを眺め、またふらりと外に出るという姿がうかがえた。そういった気軽な雰囲気が漂っているミニ・シアターは、生活の中にふわりと入ってくるような身近な存在なんだろうなと思う。

「市民映画館」としての成り立ち

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シネ・ウインドウは映画館名に「市民映画館」という言葉が付いている。これは言葉のとおり、新潟市民自らが運営している映画館という意味だ。その成り立ちについてはシネ・ウインドのホームページに掲載されているので、一部を引用させていただきたい。

1985年3月、多くの映画ファンに愛された名画座「ライフ」(新潟市古町)が閉館しました。映画評論家・荻昌弘(故人)が新潟日報に寄せた「新潟市民の損失は、はかり知れない」という一文。それに応えて「市民が運営する映画館」建設を提唱したのが齋藤正行(現シネ・ウインド代表)です。映画・演劇・文学愛好家らと共に準備会を発足、一口1万円の出資を広く呼びかけます。そして、1985年12月7日「新潟・市民映画館シネ・ウインド」は開館しました。
https://www.cinewind.com/abouts/

ミニシアターとはいえ、映画館一つを開館させるためにはかなりの金額が必要であろう。それを一口1万円の出資で賄ったというのだから、どれだけ多くの人が賛同したのかがわかる。

それだけ「映画の醍醐味だけを贈る」というコンセプトの映画館が大切だということであり、それを理解する新潟市民が数多くいらしゃったというところに、新潟の人々が持つ文化的意識の高さを感じる。

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シネ・ウインドウの映画館としての管理は「有限会社新潟市民映画館」が行っているが、運営は非営利団体である「新潟・市民映画館鑑賞会」が行っている。シネ・ウインドは入場料や会員の年会費だけで成り立っているというのも、純粋に良い映画だけを上映するために必要なことなのかもしれない。

井上支配人にお話を聞くと、会員数は現在2000人以上だとのこと。この数はすごいなと思う。また、会員特典の中に「運営ボランティアとして参加できる」という項目があるのも、この映画館の成り立ちを彷彿とさせる素敵な特典だ。

市民に熱望されて開館したシネ・ウインドは、来館者が観たい映画を上映しているのではなく「来館者に観てもらいたい映画」を上映しているのだろう。現在上映中の映画『LISTEN』をはじめとして、「聴こえに関する映画」を上映していくというのもその流れなんだなと感じた。

機会を作ってもう一度シネ・ウインドを訪れて、映画館が「観てもらいたい」とお勧めする映画を堪能してみたいと思う。