四国徳島の鳴門といえば鳴門海峡の渦潮が有名で、この辺りには風光明媚な景色がいたるところに広がっている。また、この土地には鳴ちゅるうどんや竹輪など美味しいものもたくさんあり、観て食べて楽しめる場所だ。大鳴門橋の近くに有る美術館も有名で、「レプリカながら本物と同じ」という名作が数え切れないぐらい展示されている。
本物以上に本物のレプリカがずらりと並ぶ美術館
大鳴門橋のすぐ近く、徳島県鳴門市の鳴門公園内にあるのが「大塚国際美術館」だ。ボンカレーでもおなじみの大塚製薬グループが、創業75周年記念事業として1988年に開設した美術館だ。
この美術館はオリジナル作品を一切所蔵していない。飾ってあるのはすべてレプリカだ。ただし、レプリカと言ってもただの模造品ではなく、大塚グループの大塚オーミ陶業株式会社が開発した特殊技術にを使ったレプリカを展示している。
その特殊技術とは、簡単に言うと世界中の名画を陶器の板に原寸で焼き付けたものだが、世界的に有名な名画やすでに現存しない名画などが見られるうえに、直接触ることができるというのも魅力的だ。
入館料が大人一人3240円と美術館の中では高額で、しかも交通の便が決して良いとはいえない場所にある。しかし、2011年の「行ってよかった美術館&博物館ランキング」一位を獲得し、年間約22万人が訪れるというのはそれ相応の理由があるからだ。
それは、単に絵が飾られているというだけではなく、壁画であれば当時の建物内部を再現するなど、全身でその時代を感じることのできる工夫があるからだろう。絵画そのものを楽しむのも良いだろうが、私のように美術品に疎い者にとっては絵画が書かれた時代背景やその空間を感じられるというのは貴重だ。
当時の様子を再現した素晴らしい芸術の数々
普通に歩いて観ても3時間以上はかかるという広大な美術館内部だが、入場して最初に足を踏み入れるのはシスティーナ礼拝堂天井画を再現した空間だ。
システィーナ礼拝堂は、ローマ教皇の公邸であるバチカン宮殿にある礼拝堂だ。天井にはミケランジェロが描いた天井絵があるが、それを空間ごと再現していて圧巻だ。
この美術館では特殊製法で作られた陶器による再現なので、フラッシュを焚かない等の決まりを守れば撮影が自由だというのも良い。貴重な美術品をとても身近に感じることができる。
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」は、誰もが一度は目にしたことのある有名な絵画の一つだろう。 私も学生の頃の美術の教科書で見た覚えがある。
ダヴィンチの「最後の晩餐」も現物大で再現されているが、壁の片方には修復前の絵画が、反対側の壁には修復後の絵画がそれぞれ展示されていて比較できる。
ムンクの「叫び」も元になった絵とともに飾られている。こういう展示がしてあると、画家がこの絵を描いた過程や背景がわかって興味深い。
イタリアのスクロヴェーニ礼拝堂も再現されていて、壁画の持つ迫力に圧倒されてしまう。
■大塚国際美術館
住所:徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内
電話:088-687-3737
開館時:9時30分~17時
※休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)
1月は正月明けに連続休あり、8月無休
入館料:小・中・高生 540円
大学生 2,160円
一般 3,240円
一休みしながらミュージアムショップへ
広大な美術館なのでカフェの数も多い。モネの「大睡蓮」を眺めながら一息いれるのも贅沢な時間だ。
数々の名画を堪能したら、入り口に戻ってミュージアムショップに立ち寄ろう。展示方法や展示内容も素晴らしいが、ミュージアムショップも華麗で見事だ。
ミュージアムショップの様子は、明日じっくりとご紹介させていただきたい。
(つづく)