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生きるって素晴らしい。働く喜びを教えてくれる一冊「泣いて笑ってまた泣いた」(倉科透恵)

今週のお題「ゴールデンウィーク2016」

 ゴールデンウィークは長いようで短い。旅行をしていても自宅で過ごしていても、あっという間に終わってしまうのは、年末年始の休みやお盆休みと同じだろう。だからこそ”これ”というものを決めて取り組むのが良い。本好きならば、落ち着いて読書を楽しむというのもそのひとつだろう。

 お気に入りの作家さんが書いた本をまとめて読むのも良いし、なかなか読み進められなかったビジネス本を読むのも良いだろう。読みたい未読の本が何冊が手元にあるというのは、読書好きにはある意味では幸せな状態だといえる。

 そんな本好きの方に、ぜひ読んでいただきたい一冊に先日出会った。ゴールデンウィークが終わって「ヨシ!仕事だ!」という時に、元気に出社することができる、元気をもらえる一冊だ。

働く喜びを教えてくれる一冊  

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 働くことは素晴らしことだと思わせてくれるのが、倉科透恵さんの書かれた「泣いて 笑って また泣いた」という一冊だ。働くことだけではなく、生きていること自体が素晴らしいと感じさせてくれる一冊でもあった。

等身大の"自分"が描かれた物語

 作者の倉科さんは、20代前半に統合失調症を発症し、それまで勤めていた会社を辞めざるを得なかった。現在も治療を継続されているが、発症後にご本人が出会った人々とのやりとりや仕事のことなどを通じて、ありのままの自分を等身大で描いている一冊だ。

 冒頭から「人を呪う」という出来事から始まるが、決して暗くもなく深刻でもなく(ご本人にとっては深刻な出来事だが)、どこかユーモアをも感じさせてくれる。

 エピソードごとに章立てが行われていて、通院の様子やSST(ソーシャルスキルトレーニング)に通う様子、職場でのやり取りなどが飾り気のない言葉で綴られている。どの話も決して悲壮感が漂ってこないのは、作者自身が何事にも前向きに取り組んでいるからだろう。文章も短いセンテンスに区切られていて、リズム良く軽妙に読み進めていくことができる。

 本のジャンルとしてはエッセーに分類されるのだろうが、読み進めていくうちに一人の女性の生き方を描いた物語として捉えるようになってしまう。一人称と三人称とが絶妙に入り混じっているのも、そう感じるひとつの要因なのかもしれない。

小さいながらも素敵な印刷会社

 物語の中心は都内某所にある小さな印刷会社だ。社員数名の小さな印刷会社は、名刺印刷を中心としていて、パワフルな女社長さんが切り盛りしている忙しい会社だ。そこに再就職した作者は病気を隠して勤め始めるが、体調をセルフコントロールしながらなんとか日々をすごしていく。

 入社して一年が過ぎた頃に自分の病気をカミングアウトするのだが、それをすんなり受け止めてしまう会社も同僚も素晴らしい。大げさな言葉が連なっているわけではなく、「大丈夫、気にしないから」という社長の一言が妙に清々しい。そう、この物語には清々しさを感じる部分がとても多いのだ。だから、読んでいて元気をもらえるのだろう。

 統合失調症は精神障害のひとつで、一般的には幻聴や幻覚、異常行動などが症状としてあげられる。しかし、症状は多岐にわたっており、個々人によってその種類や度合いが異なるのも特徴だ。だからこそ、一人一人を”統合失調症”として一括りにするのではなく、個別の特性をきちんと理解するというのがまずは大切だろう。 

生きる元気と勇気をもらえる一冊

  この一冊を読むことで、統合失調症に関する見方が大きく変わるとともに、純粋に「働くことは喜びなんだ」ということを感じさせてくれた。生きていることは素晴らしい。そんな当たり前のことを忘れがちだった私の中に、「よし!明日から頑張って生きるぞ!」という気持ちを思い起こさせてくれる一冊だった。

  ご本人にとってはたいへんなことだとは思いながらも、ユーモアが絶妙に溶け込んだこの一冊。読み進めながら自然と笑顔になってしまう一冊だ。

泣いて 笑って また泣いた

泣いて 笑って また泣いた