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心を穏やかにするサプリのようなシリーズ最新刊「ぶたぶたの甘いもの」(矢崎存美)

今週のお題「今年こそは」

 昔から本好きで、テレビを見ているのであれば活字を目で追っている方が好きだ。小どもの頃も外を走り回っていることが好きなやんちゃ坊主だったが、それでも一人のときには本を読んでいることが多かった。本といっても小学校低学年まではひたすらマンガを読んでいて、当時全盛期だった貸本屋さんに行っては一冊10円ほどで借りては読んでいた。

 小学校高学年になると学校の図書館に頻繁に行くようになり、冒険物やSF物をひたすら読み込んで図書カードが何枚にもなったのを思い出す。マンガも図書も空想の世界に引き込んでくれるのが楽しくて、例えば嫌なことがあった時でも読むことで気分を切り替えることができるのがありがたかった。

 例年、年間で160冊から170冊ほどの本を読むのだが、昨年は130冊ほどといつもの年に比べて読書量が少なかった。特に昨年後半は極端に読む量が減ってしまい、上半期の半分の量しか読んでいない。仕事が少し忙しくなったということもあって、移動中に本を読まずにPC作業をしていたというのも理由の一つだろう。また、帰宅してからゆっくりと本を開く時間も少なくなったというのも、もう一つの理由だろうと思う。

 読書量が減っているというのは新しい年を迎えても続いているが、読書量は自分にとって「ゆとり」のバロメーターなので、仕事や生活全般をもう少し見直して、今年こそは一昨年なみの読書量とゆとりの時間を取り戻したいなと思っている。

 心をゆったりとさせるためにも心温まる物語を読むようにしているが、毎回文庫書き下ろしを楽しみにしているシリーズもあって、こういう物語に出会えるのも本好きとしては幸せなことだと思う。

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 ゆったりした時に読みたくなるのが、矢崎存美さんが書かれる「ぶたぶたシリーズ」だ。昨年末には文庫書き下ろしの「ぶたぶたの甘いもの (光文社文庫)」が発売されたが、今回も読んでいて心がほわんと温かくなる短編集だった。

内容(「BOOK」データベースより)

町の小さな稲荷神社の参道に、知る人ぞ知る「和菓子処しみず」はある。春夏秋冬、季節のスイーツを求めて暖簾を潜れば、絶品和菓子に、甘酒、おでんや焼きそばまで、旨いものが勢揃い。店の主人・山崎ぶたぶたにも、運がよければ出会えるはず。変わった名前だけれど、その正体は…?疲れたとき、悩んだとき、ぶたぶたの作る甘~い和菓子で、ひと休みしていこう。 

 「ぶたぶたシリーズ」の主人公はピンクのぬいぐるみだが、ただのぬいぐるみではなく、歩いて、しゃべって、仕事をしていて、料理が上手な優しい中年男性。綺麗な奥さんと可愛い娘さんがいるが、奥さんと娘さんはぬいぐるみではなく普通の人間という設定だ。

 そんな"ぶたぶた"と知り合った人々は、心に抱えていた悩みや悲しみが徐々に薄れていき、ぶたぶたと知り合ったことで幸せになっていくというストーリー展開が一貫している。今回の書き下ろしはシリーズ22作目となるが、毎回主人公の職業設定が変わっているのでどの物語から読んでも違和感なく読むことができる。

 今回の最新刊は、パワースポットと呼ばれる神社の参道にある和菓子屋の主人がぬいぐるみのぶたぶたさんという設定。休みをとって神社を訪ねてきた若い女性や、神社の湧き水を汲みに来た夫を亡くしたばかりの妻、仕事が忙しくて寝る暇もない若手会社員などが「和菓子処しみず」でぶたぶたさんと出会い、それぞれの心の中にある悲しみや辛いものを溶かしていく。

 登場する食べ物は和菓子だけではなく、おでんや焼きそばなどがあってどれも美味しそうだ。食べ物や甘いものが好きな人にとっては、登場する食べ物を思い浮かべるだけでも楽しいだろう。

 ハラハラドキドキする展開ではないし、意外な結末が待っているわけでもない(ぶたぶたさんの存在自体が意外だが)。しかし、すーっと流れていく物語のなかに、心のなかを温かくしてくれる要素がたっぷりと詰まった、心を穏やかにしてくれるサプリメントのようなシリーズだと思う。