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職場の置き菓子「課長のうしろ-behind your boss-」で障害者支援

 江戸時代にはほとんどの売り買いは「つけ」として記帳され、一定の期間ごとに精算して支払うことが一般的だったようだ。現代で言えばクレジットカードを使って購入するような感じだが、この習慣は今日でもクリーニング店や居酒屋などで残っていることがある。

 また、富山の薬売りで有名な「置き薬」のように「使った分だけお金をいただく」という商売も面白い方法だと思うが、これは「相手を信用することで成り立つ商売」だと思う。 神奈川県川崎市では、そういった置き薬的な方法を取り入れて障害者支援に取り組んでいるサービスがある。

置き菓子「課長のうしろ-behind your boss-」

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http://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000067/67473/150514houdou.pdf

 川崎市が福祉関係者アイデアを基にして提案したのが、 「課長のうしろ-behind your boss-」というオフィスへの置き菓子事業だ。知的障害者施設で作られたお菓子を詰めた箱をオフィスに置かせてもらい、食べた分だけを貯金箱に入れておくという「置き菓子事業」として4月からスタートしている。

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 この事業を行っているのが社会福祉法人しいの実会の「 おかし工房 しいの実 」というお店で、お菓子の製造やオフィスへ出向いての補充、料金の回収など一連のサービスを行っている。 

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http://matome.naver.jp/odai/2143580887510554601

 「お菓子BOX」と名付けられた箱の中には、施設で作られたクッキーやラスクなどが綺麗に並べられていて、食べた人が一袋100円を料金箱に入れる仕組みになっている。

 スタート時点では4事業所で実施していた置き菓子事業は、8月末で14事業所(19箇所)に置かれるほど拡大している。残業の時やお昼ご飯の後など「ちょっと口寂しい」という時に好評のようで、さらにお菓子を食べることで社会貢献につながるというCSR的な観点からも人気があるようだ。

 また、お菓子の補充や料金回収のために障害当事者が設置事業所を回ることで、直接事業所の方々と施設の方々との触れ合いができるというのも、事業としての意義が大きいだろう。

 社会のなかで、障害者と健常者とが特別に区別されることなく社会生活を共にすることを「ノーマライゼーション」というが、授産所の商品が企業に置かれるとともに触れ合う機会が多くなるというのはとても素晴らしいことだと思う。

 「相手を信用したうえで成り立つ」という置き菓子事業が、障害者支援につながるのもまた意義のあることではないだろうか。

置き菓子の歴史はまだまだ浅い

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(参照:http://www.ezaki-glico.com/release/20040624/index.html)

 オフィスに「食べ物を置く」という置き菓子ビジネスの先駆けは、江崎グリコの「オフィスグリコ」というサービスだ。「置き菓子ビジネス」とはオフィスに専用のケースを置き、 1個100円程度の代金を自分で料金箱に入れてお菓子をケースから取り出すというもの。 使った分だけお金を払う「置き薬」と同じ発想のビジネスだ。

 1999年に大阪で始まったこのサービスは2002年から本格的な展開を開始している。江崎グリコがシェアナンバーワンだが、他社も含めて置き菓子は全国のオフィスに13万台以上が設置されていて、年間約41億円もの売上げを上げるビジネスに成長している。

 お菓子だけではなく専用の保冷ケースを使ってアイスも置くことが可能で、「1個100円」をカエルの貯金箱に入れて購入すると、定期的に巡回して来る販売員が代金を回収し補充を行うという仕組みになっている。

 また、リクエスト用紙も設置されており、食べたいお菓子をリクエストしておけば、 販売員が補充する際に希望のお菓子を入れておいてくれるというのも人気だ。職場でお菓子を販売するということに関しては、企業側では「ストレス解消のためのリフレッシュ」という効果を狙っており、 購入者の7割は男性という結果になっているのも面白い。

新事業には「物語」も必要だ

 今回の取り組みは新聞朝刊の記事で知ったが、「こういう考え方もあるんだな」と感心した。また、野菜の無人販売や置き薬と同様に「相手のことを信用することから始まるビジネス」というのは、障害者支援としてとても温かいものを感じた。

 新サービスや新事業を考えるとなると、とかく利益や投資額などを考えてしまいがちだが、その事業に流れる「物語」というものも大切にしたい。たとえどんなに便利なサービスや利益の出る事業であったとしても、良い物語の流れていないサービスや事業は継続性という意味で行き詰まるのではないかと思う。

 提供される商品やサービスの裏に流れている「物語」こそ、新事業を考えるうえで大切にしたいことの一つではないだろうか。