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「天空の蜂」(東野圭吾)原子力発電所を題材とした話題作

 東日本大震災による福島第一原発の事故をきっかけに、原発の安全性と存続が国民的な関心事になっている。鹿児島の川内原発再起動を巡るニュースは記憶に新しいところだが、そういった原発問題に一石を投じる話題作を読んだ。

テロリストが原発に軍事用ヘリコプターを墜落させるのか?

天空の蜂 (講談社文庫)

 今回読んだのは東野圭吾さんの「天空の蜂 」という一冊。映画化されて9月12に封切られることから、原作も再び話題となっている。

 錦重工業株式会社が防衛庁向けに開発していた新型の特殊ヘリは、胴体の長さが33.7メートル、ローターの径が32メートルという超大型の機体だ。操縦士の操作を電気信号に変換して最適な操縦を行うなど、ジェット戦闘機並みの能力を持っているという意味でも、今までにない画期的な機体だった。

 その超大型特殊ヘリコプターが、リモートコントロールによって何者かに乗っ取られた。機体に入り込んだ子どもを乗せたまま無人のヘリが向かったのは、福井県敦賀半島にある高速増殖原型炉「新陽」の真上。犯人は「全国の原発をすべて破壊すること」を要求し、要求が認められない場合には「爆薬を搭載したヘリを『新陽』に墜落させる」という声明文を送ってきた。

 ヘリに取り残された子どもは無事に救出できるのか、原発への落下は防ぐことはできるのか。犯人、警察、防衛庁、開発者など、それぞれの思惑が絡んで、事件は国家そのものの存続をも危ぶませる方向へと進んで行く。

 東野圭吾さんはいまさら説明する必要もないぐらい、たくさんのベストセラーを世の中に送り出している作家だ。私もかなりの数の物語を読ませていただいているが、どれも内容が濃くてスピーディで一気に読み通してしまうものばかりだ。

 今回読んだ「天空の蜂」も非常に内容が濃くて、大型新型ヘリや原発の再稼動、子どもの救出など様々な出来事が次々と展開していく。さらに、ヘリを乗っ取った犯人や開発した技術者、操作を行っている刑事や原発の人々など、物語に登場する人物のバックボーンや考え方などが詳細に設定されており魅力を放っている。

 この物語が最初に発売されたのは1998年だが、その後東日本大震災で福島第一原発の事故が発生し原発存続の是非が問われるようになったことで、この物語が再び脚光を浴びてきたのだろう。

 福島第一原発の事故後にこの物語を読んでみると、原発に対する国民の考え方や今後どのように考えていけば良いのかということなどを、今一度考えなければいけないなと感じた。非常に読みごたえのある一冊だ。

天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)

 

映画「天空の蜂」も魅力的だ

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 映画『天空の蜂』は9月12日から全国でロードショーが始まる。江口洋介さん、本木雅弘さん、仲間由紀江さん、榎本明さんなどが出演されるが、個人的には原作のイメージとピッタリの配役だなと思った。

 原作と映画とではストーリーが若干異なっていることがあるが、この映画はどうなんだろうかということも気になる。また、これだけスケールの大きい物語だけに、映像としてどのように再現されているかも興味深い。

 一時期日本映画が衰退気味だった時期があるが、最近では徐々に大ヒット作も出てくるようになってきた。邦画には邦画独特の魅力があると思うので、この映画にも期待したい。

tenkunohachi.jp