今週のお題「読書の夏」
暑くなってきたせいで読書量も少々落ち気味だが、それでも出かける時や寝る時などには文庫本が手放せない。込み入った内容の本やじっくりと読み進める本に集中できない時には、以前読んで心に残った本を読み返すことがある。今回読み返した本も、何回読んでも心温まる素敵な物語だった。
ラブストーリーの名手らしい素敵な物語
今回読み返した本は有川浩さんの「レインツリーの国 」という一冊。様々なジャンルで素晴らしい物語を書かれている有川さんだが、その中でもいくつもかある素敵なラブストーリーのうちのひとつだ。
きっかけは中学生の頃に読んだライトノベルズ。主人公の向坂伸行は大学を卒業して三年目の社会人。昔読んだ忘れられない本の感想をネットで探していると、自分の感性にぴったりと合う内容が書かれたサイトに出会った。
感想を綴っている”ひとみ”とメールでやり取りをするうちに、どうしても直接会って話をしたくなったが、彼女はどういうわけか会って話をすることには消極的だった。
それでもようやく会えることになり、少しだけちぐはぐな会話ながらも楽しい時間を過ごしていった。しかし、彼女には伸行と会うことに消極的となるある理由があった。
タイトルのとおり、この物語は胸がときめくとても素敵なラブストーリー。主人公が知り合った女性ひとみが背負っているものが、物語の中で切ないながらも感動のラストにつながるキーワードとなっている。
互いに惹かれ合いながらもさまざまな誤解や心の葛藤が起こり、それでも互いを理解し合おうという二人の姿。そこには静かな感動を覚える。重い題材を取り上げながら、それでも読後に爽やさを感じるというのは、さすがにラブストーリの名手だけのことはあるなと感じた。
個人的には主人公の関西弁が冒頭の部分では少し気になったが、読み進めていくうちにグイグイと引き込まれてしまい、一気に読み切ってしまったこの一冊。短い物語だが読んでみる価値はあると思う。
今秋の映画化も楽しみだ
「レインツリーの国」が発行されたのが2006年9月だが、10年近く経った今でも読み続けられ累計88万部のロングセラーとなっている。今年の11月には映画化されるが、どのような作品に仕上がっているのか興味津々だ。
有川浩さんの作品は「阪急電車 」や「図書館戦争」など、いくつかの物語が映画化されているが、原作の雰囲気をどこまで映像化できるのかがとても興味深い。
原作が良ければ良いほど、読み手がそれぞれ独自のイメージを持っているので、万人に受けいられるようなストーリ作りというのは難しいのかもしれない。だからこそ、自分の好きな物語が映画化された時には、原作とは異なる物語だと考えて観にいくことにしている(映画は原作とは若干異なるストーリになることが多いが)。
「映画レインツリーの国」はどうだろうか。今から公開が楽しみだ。