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農作業用アシストスーツ「ラクベスト」が果物農家の作業を軽減する

 「農家の高齢化が進むことによって離農する人が多くなった」という話を聞くようになって久しい。最近では若者の就農や定年退職後の就農も増えてきているようだが、それでもまだまだ農家の主力は高齢者だろう。

 介護や医療の現場では介護用アシストスーツが実用化され話題になっているが、農業分野においても「ロボットスーツのような農作業用アシストスーツ」が開発され、販売が開始されている。

農作業用アシストスーツ「ラクベスト」

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http://www.jnouki.kubota.co.jp/product/kanren/assist_suit/

 稲作や野菜作りなどのように田んぼや畑での農作業は重労働だが、トラクターやコンバインなどの農耕器具のおかげで昔に比べると作業がラクになっていると聞く。一方で、 ブドウ農家のように常に腕を上げていなければならない作業は辛いし、専用の農耕器具がないので手作業が中心となっている。

 農耕器具などの製造・販売を行っているクボタが開発したのは、ブドウ農家など棚で作業をする農家のための「ラクベスト」という商品。乾電池で作動するこの機械は、ロボットスーツのような形状だが極めて簡単な機能で農作業を軽減してくれる。

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 本体重量は3.8kgで価格は税込み129,600円。単3電池4本で8時間使用することができる。介護用ロボットのようにモーターを使用するのではなく、腕を乗せるスライドアームを一定の角度に固定し、その上に腕を乗せて作業をするという方式。

 「ロボットスーツのような」という形容のとおり、このラクベストはロボットスーツではなく作業用補助具という位置付けだ。

 板バネを使ってアームの角度を固定しているため、モーターを使用する必要がなく軽量化が図られている。乾電池はスライドアームを固定するためにだけに使われているが、単3電池4本で8時間というのは長持ちするのか消費が早いのかは意見が分かれるところかもしれない。

 この商品のことはラジオ番組で知ったが、実際に使っている農家の方のお話だと「以前は腕を上げているのが辛かったので休憩が多かった。ラクベストを使うようになってからは12時間かかっていた作業が8時間で終わるようになった」と、効果があることを話していた。一方で「10万円を切る価格なら助かる」という話も出ていたが、販売数が伸びればもう少し価格も低減されるだろう。

 ロボット型のスーツがニュースとして取り上げられる昨今だが、ちょっとした工夫を凝らした道具で作業が軽減されれば、今後就農人口も上がるのかもしれない。

介護支援ロボットの価格はどれくらいなのか

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 介助用のロボットといえば、最近テレビでもニュースとして流れていた「HAL®介護支援用(腰タイプ)」が頭に浮かぶ。

 介護施設などで介護する側が装着するロボットで、腰に装着するだけで無理なく移乗介助のような介助動作を行うことができ、介助者の腰部にかかる負荷を軽減してくれる。介助者は常に腰に負担がかかっているため、腰痛が職業病のようになっているらしい。このロボットを使えば腰痛リスクを減らすことができる。

 介護される側だけではなく介護する側も高齢化することが想定されるだけに、こういった機器が充実してくることは意味のあることだ。

 一ヶ月のレンタル価格が10万円ほどするらしいので、公営の介護施設や公的補助を受けられる施設でなければレンタルすることは難しいだろう。技術の進歩と販売台数の増加によって、将来的には家庭でも気軽に購入できるほどの価格にまで低減されることが望まれる。

歳を取ってもいろいろなことにチャレンジしたい

 超高齢化社会を迎えた日本では、「高齢者を若者が支える」という時代は過去のものとなっている。「老老介護」という言葉にも象徴されるように、これからは高齢者が高齢者を支えるということが当たり前の時代になってくるだろう。

 ネガティブにいうとそういう考え方になってしまうが、視点を変えれば「歳を取ってもいろいろなことにチャレンジする」ということが必要になってくるのだろう。重いものを持つような作業や、同じ姿勢を長い時間続けるような作業が歳を取っても気軽にできるのであれば、若い頃にやっていたことも簡単にできるのではないだろうか。

 近い将来、アシストロボットやアシストユニットを装着して、老いも若きも一緒にスポーツを楽しむというようなこともできるかもしれない。人間誰しも歳をとると筋力が衰え関節も弱くなるが、それを補うものがあればいろいろなことにチャレンジできるだろう。

 それが「ロボット」という機械ではなく、もっと簡単で気軽に使える道具になればさらに良いのになとも思う。