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左利きの私は子どものころ王貞治選手になりたかった

今週のお題特別編「子供の頃に欲しかったもの」
〈春のブログキャンペーン 第3週〉

 左利きというのは実に不便なものだ。普段生活している中ではあまり意識することはないが、道具を使って何かをするとなったとたんに不便を強いられる。包丁しかり、ハサミしかりだが、スポーツを楽しむとなるとさらに不便さが顕著になる。

■左利き用グローブが欲しかった

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 私が子どもの頃の昭和40年代は、運動が得意な少年は割と野球選手を夢見ていたと思う。ジャイアンツがV9で世間を沸かせていた時期だということもあり、王選手や長嶋選手の活躍が子ども心にも輝いて見えたものだ。

 私は左利きだということもあって、一本足打法でホームランを量産していた王貞治選手の大ファンであり、日本刀を使って素振りをしていたという話などを聞くと身震いをするぐらい感動したのものだ。当時は間違いなく「大人になったら王選手のような野球選手になりたい!」と思っていた。

 しかし、左利き用のグローブはとても高価で(普通のグローブも高価だったが)、欲しいと思ってもねだることすらはばかられるぐらいだった。ではどうしていたかというと、右利きの兄が使っていたグローブのおさがりをもらい、それを無理やり右手にはめてボールを捕球していた。

 そうやって工夫をしていたもののやはりそれでは使いにくいので、左手にグローブをはめてキャッチし、ボールを抜いて素早くグローブを投げ捨てて左手で投げるということをやっていた。おかげで右手でキャッチすることが下手になってしまい、王貞治選手になるどころか地元の少年野球チームにも入れないというお粗末な結末が待っていた。

 左利き用のグローブを自分用として買ったのは、結局社会人になり会社の草野球チームに入ってからだったが、捕球が下手だというのは子どもの頃のままだった。

■案外少ない左利き用の道具

 左利きの人は全人口の10%ほどだという数値があるが、右利きに矯正される場合があるため正確性については定かではない。しかし、少数派だということは間違いないので、世の中の設備や道具は基本的には右利き用に作られている。

 エレベーターのボタン配置、パソコンキーボードのテンキー、自動改札機のICカード読み取り部分、自動販売機の硬貨投入口、スーツやシャツの胸ポケットの位置など、右利きの方が使いやすい設計となっている。割合的に右利きの方が大多数だということを考えると当たり前のことだ。

 スポーツの世界でも左利き用の道具というのは、「有るけれども特注品」だったり「取り寄せ品」だったりする。場合によっては価格が若干高めだという場合もあり、それもまた少数ロットを作るから当たり前のことだと思う。

 ただし、左利きの私がそれで不便かというとそうでもない。要は「慣れ」なんだと思う。生活をするうえで右手で作業をした方が便利なのであれば右手で作業をするし、どうしようもないぐらい不便でなければ右利き用の道具を使う。左利きの人にはそういう人が多いのではないだろうか。

■左利きで良かったこと

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 左利きで良かったことも多々ある。一番は「何となく器用に色々なことができる」ということだろうか。社会の中にある設備や道具が右利き用に作られているので、自然と右手で操作することを覚えるとともに、もともとの利き腕である左手も頻繁に使う。右利きの人に比べて両手を使って作業することが多いので器用になるのかもしれない。

 私の場合には文字は右手で書くように教えられたため、例えば「右手で文字を書きながら左手で消しゴムをかける」とか「左手で電卓を叩いて右手で記入する」ということも自然に行える。大したことではないが、便利だねと言われることがある(その程度だが)。

 最近ではスポーツ用品などでも普通に左利き用の道具が店頭に並ぶようになり、価格も右利き用と変わらない値段のものもあるように見受ける。私がいま子どもだったら左利き用のグローブを案外すぐに買ってもらえたかもしれないが、だからといって幸せかというとそれは別の問題だろう。

 左利きだったおかげで工夫することを覚えたと思うし、何となく器用に物事をこなせるようになったのは、左利き用のグローブを持っていなかったからこそだと思う。王選手になれなかった少年は、そのおかげで器用な大人に育ったのだ。