直筆の手紙を書いたりいただいたりする機会が減ってきた。私は今でもお礼の手紙やちょっとした添え書きなどを書く時には、仕事であってもプライベートであっても直筆で書くようにしている。文字は上手な方ではない。どちらかというと下手な方だ。「下手でも気持ちを込めて書く」というところに自分自身の落としどころを見つけているが、そんな私の気持ちを見透かしたような便箋が発売されていた。
■簡単な仕組みながらアイデアものの便箋
先日買い求めたのが「きれいな手紙が万年筆で書ける便箋」という商品。デザイン文具の総合メーカーミドリが発売している便箋で、万年筆を使ってきれいな手紙がかけるらしい。近所の書店にある文房具コーナーに置いてあるのを見つけ、先日新しい万年筆を買ったばかりだということもあって早々に買い求めてきた。
ミドリの商品には他に「きれいな手紙が書ける便箋」というシリーズがあり、私が買い求めた商品はその万年筆版という位置づけだ。便箋には秘密の下敷きという、いわゆるお手本となる文字や挨拶文が印刷された厚紙が入っている。 それを便箋の下に敷いて文字の練習を行うことができる。
ここでひとつ勘違いしてはいけないのが、「きれいな手紙」というのは「きれいな文字で書く手紙」ではないということだ。もちろんきれいな文字がかけるよう練習用の下敷きがあるのだが、それよりも「中心線の整った文字列を書く」ということがきれいな手紙の第一歩だと言える。
実際に魔法の下敷きを敷いて書いてみたが、お手本があるので逆にギクシャクとした文字になってしまった。やはり自分のリズムで文字を書くことが大切なようだ。しかし、文字の中心線を合わせるということや、一文字ずつのバランスを覚えるという意味では効果的だと感じた。
紙質は万年筆に合わせてあるようで、インクの吸い込みも良く滑らかな書き心地だ。書いていて楽しいと思える書き心地でもあった。魔法の下敷きは他にも縦書き・横書き双方の罫線と中心線が印刷されたものもあるので、実際の手紙を書く時にはそちらを利用して書くことになる。
無卦の便箋に書く手紙に抵抗がある方は、罫線入りの商品を買うという選択肢もある。万年筆に特化した製品ではないようだが、同じように魔法の下敷きが用意されているので便利だ。
このシリーズには他にも「きれいな宛名が書ける封筒」という商品もあるので、宛名書きの時に薄く鉛筆で線を入れている私のような方には便利だと思う。直筆の手紙を書くのが好きな方、書いてみたいけど自信がないという方、その双方に便利な便箋ではないだろうか。
何よりも「書いていて楽しい」と思える書き心地の便箋だと感じたのが印象的だった。
■直筆で手紙を書くということ
便箋を使って長い手紙を書くという機会はそれほど多くないが、一筆箋に簡単な挨拶を書いて添えることは多い。便箋と違って一筆箋だと書く量がかなり少ないし、受け取った方もそれほど負担に思わず良いのではないかと思う。
場合によっては便箋に簡単な挨拶を書いて送ることもあるが、そんな時にはできるだけ簡潔に書いて送るようにしている。もちろん手書きだが、たとえ文字は下手でも丁寧に心を込めて書くように心がけている。
すらすらと流れるようなきれいな字で書ければそれに越したことはないが、それほどきれいな字ではなくても手書きの手紙というのは温かみがあると思う。パソコンやワープロで書かれた手紙は、場合によってはコピー&ペーストで流用することができるが、手書きの手紙は「相手にだけの労力」を使って書くというところに温かみがあり価値があると思う。
相手に感謝の気持ちを表すのには、なにも品物などのプレゼントを贈ることばかりではない。何よりも、相手のために心を込めてお礼の言葉を綴るというのがまずは大切なことだし、そのためには直筆の手紙が一番だと思う。
何でも簡単につくることができる現代だからこそ、相手のことを考えながら一文字一文字言葉を綴る直筆の手紙は、とても貴重なものだし気持ちを伝える一番の方法だと思う。