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新たなシリーズで平台を飾る「探偵の探偵」シリーズ(松岡圭祐)

 新刊の紹介を見ると「書き下ろし」という言葉を見かけることがある。

 書き下ろしとは、小説などが新聞や雑誌などに掲載されずにそのまま書籍として出版されることらしい。以前読んだ大崎梢さんの「クローバー・レイン 」にもそのようなことが書かれていたと記憶しているが、最近では『堂々の書き下ろし!』のような謳い文句で出版されるものも多い。

 人気の作家さんになると書き下ろし作品が多く発売されるが、やはり人気があるだけに「この作家さんの本を早く読みたい」という読者の要望に応えるという意味もあるだろうし、出版社側の「出せば売れる」という目算もあるのだろうと思う。

 本好きとしては書き下ろし作品はありがたいことだし、さらに単行本ではなくいきなり文庫本で発売されるととても嬉しい。さらに、好きな作家さんのシリーズが始まるとなると二重三重の嬉しさということになる。 

探偵の探偵 (講談社文庫)

 

 最近、書店の平台や企画棚を埋めているのが松岡圭祐さんの「探偵の探偵」というシリーズ。2014年11月にシリーズ1巻目が発売されたが、翌月の12月には早くも2巻目が発売された。 

  松岡圭祐さんと言えば催眠術をテーマとした小説「催眠」でデビューし、「千里眼シリーズ」や「万能鑑定士Qシリーズ」など、心理学的な要素を含みながらアクションや推理の要素をも含んだ作品を数多く世の中に出されている作家さんだ。また「ミッキーマウスの憂鬱」のように、青春ものもかかれるなど多才ぶりを発揮されている方でもある。

 千里眼シリーズでは臨床心理士で元航空自衛官の岬美由紀が主人公となっており、飛び抜けた身体能力と知識とで大きな謎を解いて行く。また、万能鑑定士Qシリーズでは沖縄から上京してきた天然ボケの凜田莉子(りんだ りこ)が主人公となり、独自の感性を磨き上げながら困難な事件を解決する万能鑑定士になっていくという推理小説だ。

 どちらのシリーズも才色兼備の若き女性が主人公として活躍し、そのキャラクターに引き込まれて行くという点で共通している。

 今回始まった新シリーズ「探偵の探偵」も、主人公は美少女の紗崎玲奈。ある事件をきっかけとして探偵としての知識と経験を積みながら、悪徳探偵の悪事を裁いていくという設定だ。

 「笑わない美少女」という設定の玲奈は、目的を達成するためには法律も気にかけず暴力すらも容認し自らも暴力による解決を図っていく。今までのシリーズ物の主人公が「正義の味方」的な要素を多分に含んでいたことを考えると、新シリーズでは思い切りダークな設定だというのが興味をひく。

 彼女の過去に関することも現在手がけている調査のことも、ある意味では残酷であり眉をひそめたくなるような内容だったりもする。それでも物語に引き込まれていくのは、ダークなことをやりつつも根っこにある目的を「正義」として読者が捉えていくからだろう。そういったストーリー設定と展開は、さすがに松岡圭祐作品ならではだ。

  読んでいて重く感じる内容もあるだけに、読者によっては好き嫌いが分かれる作品かもしれない。また、現実ではありえない状況や方法が登場することから、そのことに関する好き嫌いも読者によってはあるかもしれない。しかし、そういった好き嫌いを含めて話題となりうる作品・シリーズだと思うし、だからこそ面白いと思った読者には圧倒的に支持される要素を含んだ新シリーズだと思う。

 シリーズ3作目は3月の発売予定。松岡圭祐作品が好きな方にとっては、物語の確信に触れていくであろう3作目の発売が待ち遠しいに違いない。私も今から楽しみだ。

探偵の探偵 (講談社文庫)

探偵の探偵 (講談社文庫)

 
探偵の探偵2 (講談社文庫)

探偵の探偵2 (講談社文庫)

 

内容(「BOOK」データベースより)
中堅調査会社が併設する探偵養成所に、決して笑わぬ美少女・紗崎玲奈が入校する。探偵のすべてを知りたい、しかし探偵にはなりたくない、という彼女には、自分から言えぬ過酷な過去があった。調査会社社長・須磨は玲奈の希望を汲み、探偵を追う“対探偵課”の探偵として彼女を抜擢した。怒涛の書下ろしシリーズ開幕。