お正月が終わり仕事もスタートしたが、年の初めの伝統行事を見学に行ってきた。天気は良かったもののあいにくの強風が吹き付けており、残念ながら大きな櫓への点火は行われなかった。それでもこういった行事というのは、季節の移り変わりや気持ちの切り替えに良いものだなと思う。
■小山内裏公園のどんど焼き
今回出向いたのは東京都町田市にある「小山内裏公園」。京王相模原線の多摩境駅から歩いて10分程度の場所にあり、都内とはいえ自然豊かな多摩地域の広大な公園だ。櫓(やぐら)への点火予定時刻の午後1時近くになると、大勢の人が徒歩や車やバスで会場に集まってきた。
櫓には地元の方々などが持ち寄ったたくさんの正月飾りや門松などが備え付けられ、櫓の中にも持参されたものが詰められていた。また、近くの木々にはみかんや団子がつけられていて、どんど焼きの炎にあてて無病息災を願う用意がされていた。
あいにくの強風のため、点火予定時刻の直前に「本日の櫓への点火は中止となりました」という場内アナウンスが流れた。残念だというため息が場内に流れたが、それでも立派な櫓を見られただけでも良しとしようという雰囲気もあった。
年の初めの伝統行事。こういったものを体験することで、お正月気分が抜けて新しい知念をまた頑張ろうという気持ちになるんだなと実感した。
■各地で行われているどんど焼き
どんど焼きは「左義長(さぎちょう)」とも呼ばれる行事で、 古くは鎌倉時代から行われていたようだ。全国各地で行われている伝統行事で、地域によっては「どんど焼き」や「とんど焼き」「さいの神」など色々な名前で呼ばれているらしい。
炎を囲んでお餅を焼いて無病息災を祈るこの行事は、火を使うことで神事として受け継がれてきたんだろうなと思う。寒い時には暖房として、暗い夜には灯りとして使われてきた火には、昔から人が集まり特別な力があると信じられてきた。
スイッチ一つで簡単に火を得られる現代では、火は単なるエネルギーとしてしか捉えられていないような気がする。しかし、どんど焼きのような伝統行事を体験することによって、火には悪いことを祓う力があるということを感じるとともに、炎の恐ろしさも知ることになる。
写真は数年前に訪れた他の地域でのどんど焼きの様子だが、数十メートル離れた場所でも頬が火照るほどの炎の力を感じた。こういった体験を通して、炎の恐ろしさとコントローすることの大切さを昔の人は語り継いでいたのではないかと思う。