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お茶の代金は生ゴミ?鳴子温泉の「エネカフェ・メタン」

 コーヒー好きでカフェにも良く足を運ぶが、値段と味と雰囲気のバランスが取れているお店というのは案外少ない。安かろう不味かろうでは、いくら安くてもがっかりしてしまう。それでも「お金がかからない」ということになると、一度行ってみる価値はあるかもしれない。そんなお店のことが話題になっている。 

■鳴子温泉郷の「エネカフェ・メタン」

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 鳴子温泉郷は日本百名湯にも選ばれている温泉郷で、宮城県大崎市にある鳴子温泉、東鳴子温泉、川渡温泉(かわたび)、中山平温泉、鬼首温泉(おにこうべ)という5つの温泉の総称。東京から新幹線で約3時間の場所にある東北の名湯だ。

 その中でも、首を回すとキュキュと音のする鳴子こけしでも有名な鳴子温泉に、「生ゴミを持参するとお茶を飲める」というユニークなカフェがオープンした。地元の温泉熱を活用し、生ごみを発酵させて作ったバイオガスで沸かしたお茶を提供するというこのカフェでは、客は料金の代わりに家庭の生ごみを持参するというユニークな試みで、鳴子温泉街の新名所になりそうだ。

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http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/06/press20140625-01.html

 カフェの名前は「ene・cafe METHANE(エネ・カフェ メタン)」。JR鳴子温泉駅から徒歩で約5分の「ゆめぐり広場」に開店したお店で、バイオマスエネルギーの研究開発に取り組む東北大大学院農学研究科が運営する。

 お店を訪れたお客は持参した生ごみの重さを量り、お店の隣にあるメタン発酵装置に生ゴミを入れる。持参する量は決められていて、生ゴミ約200gを持ち込むとエノキ茶か紅茶を1杯無料で飲むことができるという仕組みになっている。”生ゴミ200g”というのは人が1日に出す生ゴミの量と同じだそうで、自分が出した生ゴミをお湯を沸かすエネルギーとして活用している。

 発行装置から出たメタンガスを使ったエネルギーだけではなく、温泉から出た廃湯によって装置内の温度を適温に維持しており、生ごみの分解を助ける仕組みも導入している。温泉地ならではのこの試みは、お茶を飲んでゆっくりするというよりも、エネルギーについて考える良いきっかけになっているのだと思う。

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http://www.naruko.gr.jp/news/uploads/260701-enecafe-methane.pdf

 カフェは平日、土曜、第1、3日曜の午前9時から午後4時までの営業。鳴子温泉郷にまたひとつ珍しい観光スポットができたのではないだろうか。ちなみに、コーヒーが出ないのに”カフェ”という言葉を使っているあたりは、ネーミング的には一種のシャレになっているのかもしれない。

■エネルギーを循環させる

 福島の原発事故以来、再生可能なエネルギーの使用に関して今まで以上に注目が集まってきている。太陽光発電や風力発電、波力発電など、自然の力を利用してエネルギーを得る方法が真っ先に脚光を浴びたが、今回の「エネカフェ・メタン」のようにバイオマスエネルギーを活用するという方法もある。

 自然エネルギーの活用と比較すると、廃棄物を利用するという点で「循環型のエネルギー活用」ということが言える。家庭から生ゴミをそのまま捨てるのではなく循環させるという発想は、エコ活動にもつながるという大きな利点があるのではないだろうか。

 一方で、廃棄物を分別するための手間がかかるという面もあるが、いずれにしても「石油や石炭を使って手軽にエネルギーを得る」ということからの決別が叫ばれて久しい現在では、「手間がかかる」というのは使わないことの言い訳にはならない。

 逆に「生ゴミを持って行くとお茶が無料で飲める」という付加価値をつけることで、手間がかかることを楽しさに変えるという仕組みや工夫が必要となっているような気がする。そういった施設が増えてくると、循環型の社会が徐々に浸透して行くのではないかと感じた。