旧いレンガ造りの高架下が東京の神田万世橋にある。この一帯は古い建物と新しい建物とが混在していて、一種独特の雰囲気が漂っている。その神田万世橋に昨年誕生した素敵な商業施設を覗いてきた。
■古くて新しい「mAAchマーチエキュート神田万世橋」
神田万世橋はJR中央線神田駅と御茶ノ水駅の間にある地域で、神田川を挟んだ対岸には世界的に有名な電気街である秋葉原がある。秋葉原とは反対側の川べりにあるのが、1912(明治45)年に完成した赤レンガ造りの万世橋高架橋。以前は交通博物館などがあった場所だが、ここに昨年9月商業施設「マーチエキュート神田万世橋」がオープンした。
1943年まで万世橋駅として使用されていた赤レンガの高架橋だが、今回の商業。
開業に合わせて当時の階段や壁面、プラットホームなどの遺構をよみがえらせている。また、当時のプラットホームを利用したカフェを作るなど、他の商業施設とは一線を画した造りとなっているのが興味深い。
プラットホームを利用したカフェには展望デッキもあり、中央線の電車を見ながらのんびりとコーヒーを飲めるという珍しい造りになっている。コーヒー好きにとっても電車好きにとっても、とても貴重な体験ができる場所だ。
以前は交通博物館がこの場所にあったが、現在は埼玉に移転してしまい、跡地が商業ビルになっている。むすこが幼い頃には何回何十回と通った場所だったので、ひさしぶり久しぶりに訪れてあまりの変わりぶりに驚いた。
旧いレンガづくりの高架橋の下がリニューアルされて、様々なカフェや店舗が並んでいるというのも面白い風景だと思う。散策で訪れても良い場所だ。
■見て歩くだけでも楽しい
一歩内部に入ると高架下の雰囲気はそのままに、おしゃれなカフェやレストラン、併設された雑貨店などが軒を連ねている。軒を連ねているというよりは、軒下に並んでいるという言い方が正しいかもしれない。
マーチエキュートの中央と万世橋側にはデッキに上がる入り口があるが、トビラを入ると旧万世橋駅の開業時に作られた階段がそのまま残されている。明治時代の遺構を活用した形だ。
階段を上がると実際に昔の駅構内を歩くような気分に浸れるが、旧ホームに上がるとガラスに囲まれた展望デッキやカフェデッキが現れる。ここでカフェや食事を楽しみながら、真横を通る中央線快速電車を見るというのもここでしかできない楽しみ方だ。
旧きを偲びながら新しさを感じられる「マーチエキュート神田万世橋」。機会があればぜひ一度訪れて欲しい場所だ。