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「里山資本主義(日本経済は「安心の原理」で動く)」(藻谷浩介, 日本放送協会)

 最近なかなか新書を読む機会がありませんでしたが、先日書店を覗いた時に気になる一冊に出会いました。目次とあとがきを読んで非常に興味深かったのですが、実際に読んでみたら予想どおりとても興味深い中身の深い一冊でした。

■里山主義は日本を救う

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

 今日ご紹介するのは「里山資本主義」という一冊。NHK広島が制作した「里山資本主義シリーズ」にナビゲーターとして出演した藻谷浩介さんと、NHK広島取材班がまとめた一冊です。

【目次】(「BOOK」データベースより) はじめに 「里山資本主義」のススメ/第1章 世界経済の最先端、中国山地ー原価ゼロ円からの経済再生、地域復活/第2章 二一世紀先進国はオーストリアーユーロ危機と無縁だった国の秘密/中国総括 「里山資本主義」の極意ーマネーに依存しないサブシステム/第3章 グローバル経済からの奴隷解放ー費用と人手をかけた田舎の商売の成功/第4章 “無縁社会”の克服ー福祉先進国も学ぶ“過疎の町”の知恵/第5章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へー課題先進国を救う里山モデル/最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別をー日本の本当の危機・少子化への解決策/おわりに 里山資本主義の爽やかな風が吹き抜ける、二〇六〇年の日本

 本書は中国山地で行われている木屑を使った自家発電の話から始まり、海外の電力事情や取り組みなどが紹介されて行きます。

 例えば、岡山県真庭市の建材メーカーでは工場で出る木くずでをペレットにして自家発電を始めたところ、年間1億円の電気代がゼロになっただけでなく、余った電気を売電して毎月数万円もの収入を得られるようになりました。

 また、オーストリアでは自家発電を国が率先して推進していて、他国からの電力輸入に頼らない仕組みを作ることによって、石油や天然ガスの輸入価格に頼らない国づくりを進めています。

 こう書くと「自然を大切にして里山を保全しながらノンビリ暮らすことを推奨した本」だと捉えられかねませんが、本書はさらに踏み込んで「日本経済は実は衰退していない」「高齢化社会で必要なこと」など国全体の経済や今後のライフスタイルに関しての提言も加えられています。

 木材で作る高層建築の話はなるほどなと唸るような感覚を覚えますし、休耕田の活用などに関しても非常に現実的な提言だなと感じました。

 今まで価値がないと思われていた里山にあるものや暮らしそのものに、実はとても価値があり経済的にも優れた仕組みを持っているんだと言うことを教えてくれる一冊ですし、今後のライフスタイルを考えさせられる一冊でした。

 15万部を突破したというのは伊達ではない内容ですし、とても読みやすい内容だと思います。皆さんもぜひ。

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)