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今回も心温まるお話でした「クリスマスのぶたぶた」(矢崎ありみ)

 クリスマスが近づくと、書店にもクリスマス関連の本が並びます。絵本やクリスマス特集の雑誌など様々。その中に、私の好きなシリーズの小説最新刊が並んでいました。 

  ■ぬいぐるみが主役の心温まるお話

クリスマスのぶたぶた (徳間文庫)

 今日ご紹介するのは矢崎ありみさんの「クリスマスのぶたぶた」という一冊。私の大好きな「ぶたぶたシリーズ」最新作です。
【内容情報】(「BOOK」データベースより) 大学生の由美子は、クリスマスだというのに体調不良。おまけに、元彼がバイト先に来ちゃったりして、ますますツラくなり…。早退けさせてもらった帰り道、バレーボールくらいの大きさをしたピンク色のぶたのぬいぐるみが歩いているところに遭遇した。これは幻覚?それとも聖なる夜が見せた奇跡?山崎ぶたぶたと出会った人たちが体験する特別な夜を描くハート・ウォーミング・ノベル。
 「ぶたぶたシリーズ」の主人公は"ぬいぐるみの山崎ぶたぶたさん"。ピンク色のぶたのぬいぐるみなのに動くだけではなくて、歩いて、しゃべって、仕事をしていて、料理が上手な優しい中年男性。
 綺麗な奥さんと可愛い娘さん二人とで生活していますが、奥さんと娘さんはぬいぐるみではなく普通の人間。
 そんな"ぶたぶたさん"と知り合った人々は、心に抱えていた悩みや悲しみが徐々に薄れていき、ぶたぶたさんと知り合ったことで幸せになっていくというストーリー展開がシリーズの中では一貫しています。
 ぬいぐるみが生きているという設定自体が奇抜なのですが、どうしてそうなったかということについては一切触れられていなくて、「ぶたぶたさんは、ぶたぶたさんだから」というキッパリとした割り切りが良いなと思います。
 今回の物語ではクリスマスイブを中心とした短編が綴られていて、どの話も辛かったり哀しい想いをしている人が、ぶたぶたさんと出会うことで心が安らいで行くという展開となっています。
 サンタクロースの格好で色々な場所に出没するぶたぶたさん。それを目撃することで傷ついた心が癒されて行く短編の主人公達。思いがけずぶたぶたさんと話す機会が出来たことで、自分の悩みと向き合うことが出来るようになる主人公達。
 物語を読み進めて行くうちに、心の中の悩みを解決出来るのは自分自身なんだなということに気づかれます。また、ぶたぶたさんの行動を通じて、他人に対してこういう形で関わって行けると素敵だなということにも気づかされます。
 巻末には文庫本のために書き下ろされた物語も添えられていますが、矢崎ありみさんは星新一ショートショートコンテストで優秀賞を獲られただけあって、短編がとてもお上手でグイグイ引き込まれてしまいます。
 クリスマス時期を控えてとても素敵な一冊に出会いました。皆さんもぜひ。 
クリスマスのぶたぶた (徳間文庫)

クリスマスのぶたぶた (徳間文庫)